「考える」を表す言葉|思う・悩む・検討するからthink・consider・reflectまで

「考える」を表す言葉

「考える」は、非常に広い意味を持つ日本語である。

「明日の予定を考える」「答えを考える」「将来について考える」「どちらを買うか考える」「相手の気持ちを考える」では、同じ「考える」でも頭の中で行っていることは少しずつ違う。

さらに日本語には、「思う」「考え込む」「悩む」「検討する」「熟考する」「判断する」「推測する」「想像する」「振り返る」など、思考に関係する多くの言葉がある。

英語でも「考える」は think だけではない。consider / reflect / ponder / wonder / suppose / guess など、思考の種類によってさまざまな言葉が使われる。

では、そもそも「考える」とは何なのだろうか。

まず日本語の「考える」という大きな世界を整理し、そのあとで英語ではどのように言葉が分かれているのかを見ていこう。

「考える」に関係する日本語

「考える」の周囲には多くの言葉がある。違いが見えやすいものを整理すると、次のようになる。

日本語どのような「考える」か
考える頭を働かせて答え・判断・考えなどを作る
思う頭や心に考え・気持ちを持つ
考え込む一つのことを深く長く考える
熟考する十分に時間をかけて慎重に考える
検討する判断のために条件や可能性を調べて考える
悩む答えが出ず、迷いながら考える
迷う複数の選択肢の間で決められない
思案するどうすべきかあれこれ考える
熟慮する十分に考えを巡らせる
振り返る過去の出来事について改めて考える
推測する分かっている情報から答えを考える
予想するこれから起こることを考える
想像する実際には目の前にないものを頭に描く
仮定するあることを事実として一時的に置いて考える
判断する情報をもとに結論を出す
評価する価値・程度・良し悪しなどを考える
意図するある行動や結果を頭の中で目指す
思いつく考えやアイデアが頭に浮かぶ
思い巡らすさまざまな方向から考え続ける

すべて頭の中で行われる活動だが、「何をしているのか」は異なる。

「考える」という言葉は、これらを広く包み込める言葉なのである。

「考える」の中心は、頭の中で情報を動かすこと

「考える」は非常に抽象的な言葉だが、大まかには、頭の中にある情報を使って何かを作り出そうとする活動と考えると分かりやすい。

たとえば、

この問題の答えを考える。

では、知っている情報を組み合わせて答えを探している。

将来について考える。

では、現在の状況や希望などから未来を思い描いている。

どちらを買うか考える。

では、価格・性能・好みなどを比べて判断しようとしている。

つまり「考える」の中には、

情報を思い浮かべる → 比べる → 推測する → 検討する → 判断する

といった複数の思考活動が含まれている。

「考える」と「思う」|思考するか、考え・気持ちを持つか

「考える」と「思う」は非常に近い。

これからどうするか考える。
これでいいと思う。

「考える」は、頭を働かせる思考の過程に焦点を当てやすい。

一方、「思う」は、頭や心の中にある考え・判断・気持ちを表すことが多い。

たとえば、

明日の予定を考える。

なら、予定をどうするか頭を働かせている。

明日は雨だと思う。

なら、「雨だ」という考えを持っている。

単純化すると、

考える → 思考する

思う → 考えや気持ちを持つ

という違いが見えてくる。

ただし、日本語でも両者の範囲は大きく重なっている。

「考える」と「考え込む」|思考の深さと時間が違う

「考え込む」は、一つのことについて深く、ある程度長く考えることである。

彼は質問を聞いて考え込んだ。

単に「考えた」よりも、すぐには答えが出ず、その問題に意識を集中している様子が浮かぶ。

考える → 広い思考活動

考え込む → 一つの問題について深く考え続ける

という違いである。

「考える」と「悩む」|答えを探すか、答えが出ずに迷うか

「悩む」も考える行為を含んでいる。

進学先について考える。
進学先について悩む。

「考える」は中立的である。

一方、「悩む」には、答えが簡単には出ず、迷いや心理的な負担を感じていることが多い。

つまり、

考える → 答えや判断を求めて思考する

悩む → 答えが出ず、迷いながら考える

という違いがある。

「悩む」と「迷う」|問題について苦しむか、選択できないか

「悩む」と「迷う」も近い言葉である。

将来について悩む。
AとBのどちらにするか迷う。

「悩む」は、問題そのものについて考え続けて苦しむ場合にも使える。

「迷う」は、複数の方向や選択肢があり、どれを選ぶか決められない状態を表しやすい。

そのため、

悩む → 問題を抱えて考え続ける

迷う → 選択肢の間で決められない

と考えると違いが見えやすい。

「考える」と「検討する」|考える材料を比べる

「検討する」は、何かを決めるために、条件や可能性などを詳しく調べて考えることである。

新しい方法を検討する。
引っ越しを検討する。

「考える」よりも、判断材料を取り上げて吟味するという感覚が強い。

そのため、仕事や計画、選択などの場面でよく使われる。

考える → 広く頭を働かせる

検討する → 判断するために材料を調べ、比較しながら考える

という関係である。

「考える」と「熟考する」|十分な時間をかけて考える

「熟考する」は、ある問題について十分に時間をかけて深く考えることである。

提案について熟考する。

「考え込む」と似ているが、「考え込む」は自然に思考へ入り込んでいる様子を表せるのに対し、「熟考する」は意識的かつ慎重に深く考えるという意味が強い。

「熟慮する」も近く、行動や判断の前に十分考えるという意味で使われる。

「考える」と「思案する」|どうするかを考える

「思案する」は、特に「どうするべきか」についてあれこれ考える場合に使われる。

どう対応するべきか思案した。

単なる思考というより、問題に対する方法や行動を考えている。

日常会話では「考える」のほうが広く使われるが、「思案する」は解決策や行動について考えを巡らせるニュアンスを出せる。

「考える」と「振り返る」|過去について考える

「振り返る」は、本来は後ろを見ることだが、過去について改めて考える意味でも使われる。

一年を振り返る。
自分の行動を振り返る。

単に記憶を思い出すだけではない。

過去の出来事を改めて考え、その意味や結果について考察することも含まれる。

ここでは「考える」の方向が過去へ向いている。

「考える」と「推測する」|情報から答えを導く

「推測する」は、すべての情報が分かっていない状態で、分かっていることから答えを考えることである。

足跡から動物の種類を推測する。

「考える」が広い思考活動なのに対して、「推測する」には、

手がかり
↓
思考
↓
おそらくこうだという答え

という流れがある。

「推測する」と「予想する」|現在の答えか、未来の出来事か

「推測する」と「予想する」は似ている。

原因を推測する。
明日の天気を予想する。

「推測する」は、不明な事実について手がかりから答えを考える。

「予想する」は、これから起こることについて考える。

したがって、

推測する → 分からないことを考える

予想する → 未来について考える

という違いが中心になる。

「考える」と「想像する」|答えを探すか、頭の中に描くか

「想像する」は、目の前にないものや実際には経験していないものを頭の中に描くことである。

10年後の自分を想像する。

「考える」では論理や判断が中心になる場合があるが、「想像する」では必ずしも答えを出す必要はない。

考える → 情報を使って思考する

想像する → 頭の中に状況やイメージを作る

という違いがある。

「考える」と「判断する」|思考の途中か、結論を出すか

「判断する」は、情報をもとに一定の結論を出すことである。

状況をよく考える。
状況から中止すべきだと判断する。

ここには、

考える
↓
比較・検討する
↓
判断する

という流れがある。

「考える」が思考の過程全体を表せるのに対して、「判断する」はその先にある結論に重点がある。

「考える」と「思いつく」|考えて作るか、頭に浮かぶか

「思いつく」は、アイデアや方法などが頭に浮かぶことである。

新しい方法を考える。
新しい方法を思いつく。

「考える」は、意識的に頭を働かせる過程を表せる。

一方、「思いつく」は、

それまでなかった考えが頭に現れる

という瞬間に焦点がある。

考え続けた結果として思いつくこともあれば、突然思いつくこともある。

ここまでの「考える」を概念で整理すると

「考える」の周辺にある日本語を、思考の種類で整理すると次のようになる。

概念日本語表現
広く頭を働かせる考える
考え・意見・気持ちを持つ思う
一つのことを深く考える考え込む
慎重に深く考える熟考する・熟慮する
判断材料を調べて考える検討する
答えが出ず考え続ける悩む
選択肢の間で決められない迷う
どうするか考える思案する
過去について改めて考える振り返る
情報から答えを考える推測する
未来について考える予想する
頭の中に状況を描く想像する
条件を置いて考える仮定する
結論を出す判断する
価値や程度を考える評価する
アイデアが浮かぶ思いつく

「考える」という一語の中には、これだけ多くの思考が含まれている。

では、英語では「考える」をどう表す?

英語で「考える」といえば、まず think が思い浮かぶ。

しかし、think だけですべての「考える」を表すわけではない。

日本語で「思う」「検討する」「熟考する」「振り返る」「推測する」と言葉を変えるように、英語でも思考の種類によって言葉が変わる。

日本語のイメージ英語コアイメージ
考える・思うthink頭の中で考えを持つ・思考する
検討するconsider判断の対象として考える
振り返って考えるreflect振り返り、深く考える
じっくり考えるponder一つの問題を深く考える
~かなと考えるwonder答えが分からないことに思いを巡らせる
~だと思うsupposeある程度そうだと考える
推測するguess十分な確証なしに答えを考える
想像するimagine頭の中にイメージを作る
判断するjudge情報をもとに判断する
評価するassess / evaluate価値・状態・程度を判断する

これも「考える=think」「検討する=consider」という完全な対応表ではない。

日本語と英語では、思考という世界の切り分け方が異なるからである。

think|最も広い「考える」

think は、英語の「考える」の中心にある非常に広い言葉である。

I need to think about it.
それについて考える必要がある。

この think は、ある問題について頭を働かせる意味である。

一方、

I think he is right.
彼は正しいと思う。

では「考える」というより「思う」に近い。

つまり think は、日本語の「考える」と「思う」の両方にまたがっている。

ここが、日本語と英語を一対一で対応させると分かりにくくなるポイントである。

consider|判断するために検討する

consider は、何かを判断や選択の対象として取り上げて考える場合によく使われる。

We are considering moving to a new house.
私たちは引っ越しを検討している。

単に引っ越しについて頭に思い浮かべているのではない。

実際の選択肢として考えている。

Please consider my proposal.
私の提案を検討してください。

think よりも、「材料として取り上げて考える」という感覚が強い。

reflect|振り返って考える

reflect は「反射する」という意味を持つが、思考について使うと、経験や行動などを振り返って深く考えることを表す。

I reflected on what I had done.
自分がしたことを振り返って考えた。

単に remember しているわけではない。

過去の出来事を思い返し、その意味について考えている。

そのため、

remember → 思い出す

reflect → 振り返って考える

という違いがある。

ponder|じっくり考える

ponder は、一つの問題について時間をかけて深く考える場合に使われる。

She pondered the question for a while.
彼女はその質問についてしばらくじっくり考えた。

think よりも、思考の深さや時間を感じさせる。

日本語では「熟考する」「じっくり考える」「考え込む」などが近くなる。

wonder|答えが分からないことについて考える

wonder は、日本語訳だけを見ると少し分かりにくい言葉である。

I wonder why he left.
なぜ彼が帰ったのだろう。

ここでは単に think しているのではない。

答えを知らない
↓
「どうなのだろう」と考える

という思考である。

そのため wonder は、「疑問に思う」「~かなと思う」と訳されることが多い。

「考える」は推測・想像・判断へ広がる

「考える」はさらに別の方向へ枝分かれする。

確信がなく「こうかな」と考える → guess

I guess he’s about thirty.
彼は30歳くらいだと思う。

ある程度そうだと考える → suppose

I suppose you’re right.
君の言うとおりだと思う。

頭の中に状況を描く → imagine

Imagine living on the moon.
月で暮らすことを想像してみて。

情報から判断する → judge

Don’t judge too quickly.
あまり早く判断してはいけない。

状態や価値を評価する → assess / evaluate

We need to assess the situation.
状況を評価する必要がある。

このように、英語でも「考える」は、思考の目的や方向によってさまざまな言葉へ分かれていく。

「考える」の概念地図

「考える」を中心に置くと、日本語では次のような広がりが見えてくる。

考える
├─ 考え・意見を持つ → 思う
├─ 深く考える → 考え込む・熟考する
├─ 判断材料を調べる → 検討する
├─ 答えが出ず考える → 悩む
├─ 選べず考える → 迷う
├─ 過去について考える → 振り返る
├─ 不明なことを考える → 推測する
├─ 未来について考える → 予想する
├─ 頭の中に描く → 想像する
├─ 結論を出す → 判断する
└─ アイデアが浮かぶ → 思いつく

英語側では、

広く考える・思う → think

判断のために考える → consider

振り返って考える → reflect

じっくり考える → ponder

答えが分からず考える → wonder

確信なく推測する → guess / suppose

頭の中に描く → imagine

結論を出す → judge

という広がりになる。

日本語と英語で境界線の位置は同じではないが、どちらも「思考」という大きな世界を、それぞれの方法で細かく分けているのである。

まとめ|「何をしている思考なのか」を考える

「考える」を英語にするとき、すぐに think を当てはめるだけでは十分ではない。

まず、日本語の「考える」の中で何をしているのかを考える必要がある。

思考の種類日本語英語で考えられる代表的な表現
広く思考する考えるthink
考え・意見を持つ思うthink
判断のために考える検討するconsider
深く考える熟考する・考え込むponder / think deeply
過去を振り返って考える振り返るreflect
答えを知らず考える~かなと思う・疑問に思うwonder
確信なく答えを考える推測するguess
ある程度そうだと考える~だと思うsuppose
頭の中に描く想像するimagine
結論を出す判断するjudge
状態や価値を考える評価するassess / evaluate

「考える」は、頭を働かせるという非常に大きな概念である。

その中には、「思う」「悩む」「検討する」「熟考する」「推測する」「想像する」「判断する」など、異なる思考が存在する。

だからこそ、

「考える=think」

と覚えるのではなく、

今、頭の中で何をしているのか

を考えることが重要である。

意見を持っているのか。選択肢を検討しているのか。過去を振り返っているのか。答えが分からず思い巡らせているのか。頭の中に新しい世界を描いているのか。

日本語の「考える」を細かく見ていくことで、think / consider / reflect / ponder / wonder / imagine などの英語も、一つの「思考」の世界の中でつながって見えてくるのである。

コメントする