「できる」を表す言葉|可能・得意・成功からcan・be able to・manage toまで

「できる」を表す言葉

「できる」は、日本語の中でも非常に広い意味を持つ言葉である。

「私は泳ぐことができる」
「今日は参加できる」
「なんとか完成できた」
「彼は英語ができる」
「ここに新しい店ができた」

これらはすべて「できる」を使っているが、表している概念は同じではない。

ある場面では能力を表し、別の場面では状況的な可能性を表す。また、「難しかったが成功した」という意味にもなれば、「新しく生まれる・完成する」という意味にもなる。

英語では、この広い「できる」の世界を一つの単語だけで表すことはできない。can、be able to、manage to、be capable of、know how to、succeed inなど、何を「できる」と言いたいのかによって表現が分かれていく。

では、そもそも「できる」とはどのような概念なのだろうか。

「できる」と「出来る」|ひらがなと漢字による違い

「できる」と「出来る」は基本的に同じ語である。ただし、現代の文章では「できる」とひらがなで書くことが多い。

表記中心となる概念使用例
できる能力・可能・完成・発生など英語ができる
出来る「できる」の漢字表記料理が出来る
出来上がる完成するケーキが出来上がる
出来事起こった事柄不思議な出来事

「出来」という漢字からは、「何かが出て来る」という感覚も見える。「できる」はもともと、能力だけを表す言葉ではない。

「建物ができる」「傷ができる」「友達ができる」のように、それまでなかったものが現れるという意味でも使われる。

一方、「勉強できる」「参加できる」のような場合には、「その行為を実現することが可能である」という方向へ意味が広がっている。

「できる」に関係する日本語表現

まず英語から離れ、日本語の「できる」の周辺を見てみよう。

日本語どのような「できる」なのか
できる行為や状態を実現できる
可能である条件上、実現できる
能力があるその行為を行う力がある
得意である他より上手にできる
上手である技術的にうまくできる
扱える道具・機械・言語などを使える
わかる内容を理解できる
成功する目標としていたことを実現する
やり遂げる最後まで実行して完成させる
なんとかできる困難があっても実現する
間に合う時間などの条件内で実現できる
許される規則・許可の面でできる
あり得るその事態が起こる可能性がある
実現できる計画・希望などを現実にできる
完成する作っていたものができあがる
生じる新しい状態・現象が発生する
作られる新しいものが形成される

こうして見ると、日本語の「できる」は単なる「能力」の言葉ではないことがわかる。

「できる」の概念はどこへ枝分かれするのか

「できる」の中心には、何かが実現可能である・実現するという大きなイメージがある。

そこから複数の方向へ意味が枝分かれしている。

概念の軸例注目しているもの
能力泳げる本人にその力がある
技能ピアノが弾ける身につけた技術がある
得意料理ができるある程度うまく行える
知識パソコンが使えるやり方を知っている
状況明日は参加できる条件が整っている
許可ここに座ってもよい行為が許されている
成功なんとかできた実際に達成した
実現計画を実現できる目標を現実にできる
発生傷ができた新しいものが生じた
完成料理ができた作っていたものが完成した

特に重要なのが、「能力がある」と「実際に実現できる」は別の概念であるという点である。

泳ぐ能力があっても、プールが閉まっていれば今日は泳げない。

つまり、

能力がある → できる

とは限らないのである。

「できる」と「可能である」|能力なのか、条件が整っているのか

「できる」は人の能力について使える。

私は100メートル泳ぐことができる。

これは本人に泳ぐ能力があるという意味である。

しかし、

明日は参加できる。

の場合、必ずしも「参加する能力」があるという話ではない。

予定、時間、場所などの条件が整っているのである。

したがって「できる」には大きく、

能力としてできる
→ 本人の中に実現する力がある

状況としてできる
→ 外部の条件が実現を妨げていない

という違いがある。

この違いは、英語のcanを理解するときにも重要になる。

「できる」と「能力がある」|一時的な可能性か、持っている力か

「能力がある」は、その人が持っている比較的安定した力に注目した表現である。

彼には複雑な問題を解く能力がある。

一方、

彼ならこの問題を解くことができる。

では、能力だけでなく、「この問題について実現可能である」という判断まで含まれている。

「能力がある」は人が持つ力に焦点を当て、「できる」は行為が実現する可能性まで広く表せる言葉なのである。

「できる」と「得意である」|可能か、上手なのか

「できる」と「得意」は同じではない。

私は料理ができる。

なら、料理する能力があるという意味になる。

私は料理が得意だ。

なら、単に料理できるだけではなく、比較的うまく料理できるという意味になる。

たとえば、

英語は話せるけれど、得意ではない。

という表現は自然である。

つまり、

できる → 実行可能か

得意 → どの程度うまいか

という違いがある。

「できる」と「上手である」|能力の有無か、技能の高さか

「上手」も「できる」より評価的な言葉である。

彼はテニスができる。

なら、テニスをする能力がある。

彼はテニスが上手だ。

なら、その技術水準が高い。

「できる・できない」が比較的可能/不可能という軸に近いのに対し、「上手・下手」は技能の程度という軸にある。

英語でもcanとbe good atを混同しないことが重要である。

「できる」と「扱える」|一般的な能力か、対象を使う能力か

「扱える」は、何らかの対象を操作したり利用したりする能力に焦点を当てる。

私はパソコンができる。

という日本語は会話では使われるが、かなり広い。

私はパソコンを扱える。

とすると、機器やソフトウェアなどを操作する能力があることが明確になる。

同じことは言語にもある。

英語ができる。

には、読む、書く、聞く、話すなどさまざまな能力が含まれ得る。

「できる」という広い言葉を、具体的な行為に分解することで概念が明確になる。

「できる」と「やり方がわかる」|能力か、方法の知識か

何かが「できる」ためには、「どうやるのか」を知っていることが重要になる場合がある。

自転車に乗れる。

という人は、単に自転車に乗ることが理論上可能なのではない。通常は、乗り方を身につけている。

ここには、

「方法を知っている」
↓
「その方法を実行できる」

というつながりがある。

英語のknow how toは、この「やり方を知っている」という部分を明確に表す表現である。

「できる」と「なんとかできる」|可能性か、困難を越えた達成か

「できる」と「なんとかできる」では、成功までの難しさが違う。

今日中に終わらせることができる。

なら、可能であるという判断である。

なんとか今日中に終わらせることができた。

となると、時間不足や仕事量などの困難があったが、それを越えて成功したという意味になる。

ここでは単なる能力ではなく、

困難
↓
努力
↓
成功

という流れが重要になる。

この概念は英語のmanage toと深く関係する。

「できる」と「成功する」|可能性か、実際の達成か

「できる」は未来の可能性についても使える。

明日までに完成できる。

まだ完成していない。

一方、

完成させることに成功した。

なら、すでに目標を達成している。

つまり、

できる → 実現可能である

成功する → 実際に目標へ到達する

という違いがある。

英語でもcanとsucceedはこの点で大きく異なる。

「できる」と「完成する」|行為が可能なのか、ものができあがるのか

「できる」にはもう一つ重要な意味がある。

料理ができた。

これは「料理する能力があった」という意味とは限らない。

ご飯できたよ。

なら、「料理が完成した」という意味である。

同様に、

新しい道路ができた。
家ができた。

なども、能力とは関係ない。

ここでの「できる」は、作られて完成した状態になるという意味である。

英語ではbe finished、be completed、be built、be readyなど、何が「できた」のかによって表現が変わる。

「できる」と「生じる」|新しいものが現れる

さらに日本語では、

傷ができた。
ニキビができた。
友達ができた。
行列ができた。

とも言う。

これは「何かをする能力」ではない。

共通しているのは、

それまで存在しなかったものが現れる

という概念である。

英語では、このタイプの「できる」にcanやbe able toを使うことはできない。

傷ならdevelop、行列ならform、友達ならmakeなど、何が生じるのかによって英語表現そのものが変わる。

日本語の「できる」の広さがよくわかる部分である。

ここまでの日本語を概念で整理すると

日本語の「できる」の世界をまとめると、次のようになる。

概念日本語表現
行為する力があるできる・能力がある
技術を持っているできる・扱える
方法を知っているやり方がわかる
技能水準が高い得意・上手
条件が整っているできる・可能である
行為が許されているできる・許される
困難を越えて実現するなんとかできる・やり遂げる
目標を達成する成功する
計画などを現実にする実現する
作っていたものが完成するできあがる・完成する
新しいものが生じるできる・生じる・形成される

重要なのは、「できる」を見た瞬間に英語のcanへ置き換えないことである。

まず、何がどのような意味で「できる」のかを考える必要がある。

英語では「できる」をどう表すのか?

では、英語では「できる」の世界をどのように表すのだろうか。

代表的な表現を日本語側の概念から整理すると、次のようになる。

日本語のイメージ英語コアイメージ
~できるcanその行為が可能である
~することができるbe able to行為を実現する能力・可能性がある
なんとか~できるmanage to困難を越えて実現する
~する能力があるbe capable ofその能力・可能性を備えている
~する方法がわかるknow how toやり方を知っている
~が得意であるbe good at技能水準が高い
~に成功するsucceed in目標を実際に達成する
~をやり遂げるaccomplish課題・目標を達成する
実現するachieve / realize目標などを現実のものにする

これは「できる=can」「能力がある=be able to」という一対一の対応表ではない。

日本語と英語では概念の切り分け方が異なるため、文脈によって複数の表現が重なる。

can|その行為が可能である

canは「できる」を表す最も基本的な助動詞である。

コアイメージは、ある行為や状態が可能な範囲に入っていると考えるとわかりやすい。

能力にも使える。

I can swim.
私は泳げる。

状況的な可能性にも使える。

I can meet you tomorrow.
明日なら会える。

この二つは日本語でもどちらも「できる」だが、前者は本人の能力、後者は予定などの条件による可能性である。

さらにcanは許可にも使える。

You can use my computer.
私のパソコンを使っていいよ。

つまりcanは「能力」だけの言葉ではない。

能力・状況・許可などを含め、その行為が可能であるという広い範囲を持っている。

be able to|行為を実現できる状態にある

be able toも「~できる」を表す代表的な表現である。

She is able to solve the problem.
彼女はその問題を解くことができる。

canと意味が重なる場面は多い。

ただし、be able toはableという形容詞を中心とするため、その行為を実現できる能力・状態にあるという構造が見えやすい。

また、canでは文法的に表しにくい形でも使える。

I want to be able to speak English fluently.
英語を流暢に話せるようになりたい。

「~できるようになりたい」を want to can とは言えないため、be able toが必要になる。

canとbe able toは単純に「口語/文語」と分けるのではなく、文法的な使い方と、「可能である」という概念の表し方の違いを見ることが重要である。

manage to|困難があったが、なんとかできる

manage toは日本語の「なんとか~する」「どうにか~できる」に近い。

I managed to finish the work on time.
なんとか時間どおりに仕事を終えることができた。

単に、

I could finish the work.

と言う場合とは視点が違う。

manage toには、

簡単ではなかった
↓
それでも取り組んだ
↓
最終的に実現した

という流れがある。

そのため、「実際に一度の出来事を達成した」という場面では非常に重要な表現になる。

「できる」の中でも、困難を越えた成功に焦点を当てた言葉である。

be capable of|その能力・可能性を備えている

be capable ofは、何かを行う能力や可能性を持っていることに焦点を当てる。

This machine is capable of processing large amounts of data.
この機械は大量のデータを処理できる。

人にも使える。

She is capable of doing the job.
彼女にはその仕事をこなす能力がある。

canよりも「実際に今それをする」という場面から少し離れ、その主体がどのような能力・性能を備えているのかに注目しやすい。

そのため、人だけでなく機械やシステムの性能を説明するときにも使いやすい。

know how to|やり方を知っている

know how toは「できる」の中でも、知識や習得に注目した表現である。

I know how to use this machine.
私はこの機械の使い方を知っている。

これは、

I can use this machine.
私はこの機械を使える。

と近い場面もある。

しかし視点が違う。

canは使用可能であることに焦点を当て、know how toは使用方法を知っていることに焦点を当てる。

日本語ではどちらも、

この機械、使えるよ。

と表現できることがある。

英語にするときには、日本語の「できる」の裏側にある概念を考える必要がある。

「得意にできる」ならbe good at|canとの違い

「できる」と「得意」は英語でも分けて考えたい。

I can cook.
私は料理ができる。

I’m good at cooking.
私は料理が得意だ。

canは基本的に「できるかどうか」に焦点がある。

be good atは「どの程度うまくできるか」という技能水準に焦点がある。

そのため、

I can cook, but I’m not very good at it.
料理はできるが、あまり得意ではない。

という文も自然に成立する。

日本語の「できる人」が「能力の高い人」という意味になることがあるように、日本語では能力の有無と技能の高さが重なりやすい。英語では何を評価しているのかを意識すると整理しやすい。

「成功してできる」ならsucceed in|可能性から結果へ

succeed inは、単なる可能性ではなく実際の成功に焦点を当てる。

She succeeded in solving the problem.
彼女はその問題を解くことに成功した。

canなら、

She can solve the problem.
彼女はその問題を解くことができる。

となる。

前者は実際の結果、後者は能力・可能性について述べている。

「できる」という日本語から英語を考えるとき、

できる可能性があるのか

それとも、

実際にできたのか

を分けることが重要である。

「できあがる・生じる」の英語は対象によって変わる

日本語の「できる」で特に注意したいのが、「新しく生まれる」という意味である。

日本語英語表現の例
建物ができるbe built
料理ができるbe ready
仕事ができあがるbe finished / completed
傷ができるdevelop
行列ができるform
穴ができるform / appear
友達ができるmake friends
新しい会社ができるbe established / be founded

ここには万能の「できる」に相当する英単語はない。

たとえば、

Dinner is ready.
夕食ができたよ。

は非常に自然である。

A line formed in front of the store.
店の前に行列ができた。

も「できる」だが、英語ではformを使っている。

日本語は結果を「できる」でまとめられるのに対し、英語では何がどのように生まれたのかを具体的な動詞で表すことが多い。

「できる」の周辺英語を概念別に整理する

中心語だけでなく、周辺表現まで含めると「できる」の世界は次のように広がる。

概念英語表現イメージ
基本的な可能性can~することが可能
能力・実現可能性be able to~できる状態にある
困難を越えた達成manage toなんとか実現する
能力を備えるbe capable of~する能力・性能がある
方法を知るknow how toやり方がわかる
得意であるbe good atうまくできる
成功するsucceed in実際に目標を達成する
やり遂げるaccomplish課題などを完遂する
目標を達成するachieve目標・成果に到達する
完成するcomplete / finish作業などを終える
形成されるform形あるもの・集団などができる
発生するarise / occur / develop状況・問題・状態などが生じる

「できる」を英訳するというより、日本語の「できる」の中に隠れている意味を取り出してから英語を選ぶと考えるとよい。

「できる」の概念地図

「できる」という言葉の世界を概念地図にすると、次のようになる。

できる
│
├─ 行為が可能
│   ├─ 基本的にできる → can
│   └─ 実現できる状態 → be able to
│
├─ 能力を持っている
│   └─ 能力・性能を備える → be capable of
│
├─ 方法を身につけている
│   └─ やり方がわかる → know how to
│
├─ うまくできる
│   └─ 得意である → be good at
│
├─ 困難でもできた
│   └─ なんとか達成する → manage to
│
├─ 実際に達成した
│   ├─ 成功する → succeed in
│   └─ やり遂げる → accomplish / achieve
│
└─ 新しいものができる
    ├─ 完成する → be finished / be ready
    ├─ 作られる → be built / be made
    ├─ 形成される → form
    └─ 生じる → arise / develop

こうして見ると、can、be able to、manage to、be capable ofなどが、単なる「できるの類義語」ではないことがわかる。

すべて「できる」の周辺に存在しているが、どの部分に焦点を当てるかが違うのである。

まとめ|「なぜできるのか」「実際にできたのか」を考える

「できる」は非常に便利な日本語である。その分、一つの英単語に置き換えようとすると意味が見えにくくなる。

最後に全体を整理しよう。

「できる」の意味日本語のイメージ英語表現の例
能力・可能性~できるcan
実現する能力・状態~することができるbe able to
能力を備えている能力があるbe capable of
方法を知っているやり方がわかるknow how to
技能水準が高い得意・上手be good at
困難を越えて実現したなんとかできたmanage to
目標を達成した成功したsucceed in
課題を完遂したやり遂げたaccomplish
ものが完成したできあがったbe ready / be completed
新しいものが生じた~ができたform / develop / arise など

「できる=can」と覚えるだけでは、「できる」という言葉の一部分しか見えてこない。

「能力があるからできる」のか。

「条件が整っているからできる」のか。

「やり方を知っているからできる」のか。

「難しかったが、なんとかできた」のか。

それとも、「何かが新しくできた」のか。

どのような「できる」なのかを考えることで、canだけではない英語の世界が見えてくるのである。

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