「出る」を表す言葉|出かける・現れる・抜けるからgo out・come out・appearまで

「出る」を表す言葉

「出る」は、日常会話で非常によく使われる日本語である。

「家を出る」
「外に出る」
「会社に出る」
「会議に出る」
「テレビに出る」
「結果が出る」
「新商品が出る」
「煙が出る」
「名前が出る」

これらはすべて「出る」で表せる。しかし、起きていることはかなり違う。

家を出るなら「内側から外側への移動」である。会議に出るなら「参加」である。テレビに出るなら「人前に現れること」であり、結果が出るなら「それまで存在しなかったものが明らかになること」である。

日本語の「出る」は、ある場所・状態・範囲の内側にあったものが、外側や表面へ移るというイメージを中心に、非常に広い意味へ発展している。

英語では、この広い「出る」を一つの動詞だけで表すことはできない。go out、come out、leave、appear、attend、be releasedなど、何がどのように「出る」のかによって表現が変わる。

では、そもそも「出る」とはどのような概念なのだろうか。

「出る」と「でる」|漢字による大きな使い分けはない

「出る」には、「見る・観る・診る」のような一般的な漢字の使い分けはほとんどない。

通常は「出る」と書き、やわらかい文章や幼児向けの文章などでは「でる」とひらがなで表記されることがある。

表記中心となる概念使用例
出る内から外へ移る、表面化する、現れる家を出る、結果が出る
でる意味は基本的に「出る」と同じ涙がでる

重要なのは漢字の違いではなく、「出る」という一語の中に多くの概念が含まれていることである。

「出る」に関係する日本語

「出る」の周辺には、「外へ移動する」という基本イメージから派生した多くの表現がある。

日本語どのような「出る」なのか
出る内側・ある場所・状態などから外側へ移る
出かけるある場所を離れて目的地へ向かう
外出する家や職場などから外へ行く
退出する部屋・会場などから出る
退場する会場・競技の場などから離れる
立ち去るその場所から離れていく
抜ける中にあったものが外へ出る
飛び出す勢いよく外へ出る
現れる見えなかったものが見える状態になる
姿を現す人や物が見えるところへ出てくる
登場する人前・作品・場面などに現れる
出席する会議・授業などの場に参加する
出場する試合・大会などに参加する
出演する番組・舞台などに出る
発売される商品が市場に出る
発表される情報などが公に出る
生じる結果・問題・差などが発生する
流れ出る液体などが内部から外へ出る
漏れる本来内部にあるものが外へ出る

このように見ると、「出る」は単純な移動だけを表す言葉ではないことが分かる。

「出る」の概念はどこへ枝分かれするのか

「出る」の中心には、

内側・見えない場所・現在いる場所 → 外側・見える場所・別の場所

という変化がある。

そこから、次のような方向へ意味が広がっている。

概念の方向日本語表現例
内から外への移動出る・外に出る部屋を出る
場所から離れる出る・立ち去る・退出する店を出る
目的地へ向かう出かける・外出する買い物に出かける
内部から抜ける抜ける・流れ出る空気が抜ける
見えるようになる現れる・姿を現す月が雲から現れる
人前に現れる登場する・出演するテレビに出る
活動に参加する出席する・出場する会議に出る
世の中に現れる発売される・発表される新商品が出る
結果が生じる出る・生じる結果が出る
身体から外へ出る出る・流れる涙が出る

同じ「出る」でも、どこからどこへ動いているのかを考えることが重要である。

「出る」と「出かける」|外への移動か、その先へ向かうことか

「出る」は、ある場所の内側から外側へ移動することに焦点がある。

「家を出る」であれば、家の中から外へ移ることである。

一方、「出かける」には、その場所を離れてどこかへ向かって行動を始めるという意味がある。

「家を出た」は家を離れたことを表す。

「買い物に出かけた」は、買い物という目的を持ってどこかへ向かったことを表す。

つまり、

出る → 今いる場所から外へ

出かける → 外へ出て、どこかへ向かう

という違いがある。

「出る」と「外出する」|日常語か、外へ行く行動全体か

「外出する」は、家・会社・施設などの内部から外へ行くことである。

「出る」は非常に広く使えるが、「外出する」は基本的に人の行動について使う。

「煙が出る」とは言えるが、「煙が外出する」とは言えない。

また、「ちょっと出てくる」のような日常会話では「出る」「出かける」が自然である。「外出する」はやや説明的・事務的な響きを持つ場合がある。

「出る」と「抜ける」|外へ移動するか、中から離脱するか

「抜ける」も「内側から外側へ」という動きを持つ。

「空気が抜ける」
「歯が抜ける」
「トンネルを抜ける」
「グループを抜ける」

などである。

「出る」が広い意味で外への移動を表すのに対し、「抜ける」は何かの内部・構成・拘束から離れるという感覚が強い。

「部屋から出る」は普通の移動である。

「人混みを抜ける」なら、人混みという内部を通過して外へ出るイメージになる。

「出る」と「現れる」|外へ移動するか、見える状態になるか

「現れる」は、存在していなかったというより、それまで見えなかったものが認識できる状態になることを表す。

「雲の間から月が現れた」
「突然、一人の男が現れた」

日本語では、この「現れる」も「出る」で表現できることがある。

「月が出た」
「幽霊が出た」

ここでは物理的な「内から外へ」という意味が弱くなり、「見えなかったものが見える世界へ出てくる」という概念へ広がっている。

「出る」と「参加する」|場所に現れることから活動への参加へ

「会議に出る」
「授業に出る」
「大会に出る」

この「出る」は、単なる外への移動ではない。

ある場に自分が姿を現し、その活動に加わることを表している。

ただし、活動によって日本語も細分化される。

場面より具体的な表現
会議・授業出席する
大会・試合出場する
テレビ・舞台出演する
催し・活動参加する

日本語の「出る」はこれらを広く包むことができる。

「出る」と「発売される」|世の中に出て利用可能になる

「新しいスマートフォンが出た」
「新刊が出た」
「新しい薬が出た」

この「出る」は、物が建物から外へ移動することではない。

それまで一般には存在していなかった商品などが、社会の中に現れ、利用・購入できる状態になることを表している。

そのため、文脈によって「発売される」「登場する」「公開される」などに言い換えられる。

「出る」と「結果が出る」|見えなかったものが明らかになる

「結果が出る」
「答えが出る」
「結論が出る」
「差が出る」

ここでは、物理的な移動はほとんど感じられない。

それまで確定していなかったものが、認識できる状態になることが「出る」として表現されている。

「現れる」と近い概念であるが、「結果が現れる」より「結果が出る」のほうが日常的には自然な場面が多い。

ここまでの日本語を概念で整理すると

概念日本語表現
内から外へ移る出る、外へ出る
現在地を離れる出る、退出する、立ち去る
目的地へ向かう出かける、外出する
内部から離脱する抜ける、飛び出す
見える状態になる現れる、姿を現す
人前に現れる登場する、出演する
活動に加わる出席する、参加する、出場する
社会に現れる発売される、公開される、発表される
結果として現れる結果が出る、答えが出る、生じる
内部から流れる流れ出る、漏れる

こうして見ると、「出る」の世界には一貫した方向性がある。

内側・見えない状態・現在地から、外側・見える状態・別の場所へ移る

という変化である。

英語では「出る」をどう表すのか?

では、英語では「出る」をどう表すのか。

英語では、日本語の「出る」のように非常に広い範囲を一つの基本動詞で覆うことは難しい。

「どこからどこへ出るのか」「何が出るのか」「どのような意味で出るのか」によって表現が変わる。

日本語のイメージ英語コアイメージ
外へ出るgo out中から外へ行く
中から出てくるcome out内部からこちら側・外側へ現れる
場所を出るleaveその場所を離れる
見えるところに現れるappear姿が見える状態になる
中から外へ出るemerge内部・隠れた状態から姿を現す
会議などに出るattendその場に出席する
大会に出るparticipate / compete活動・競技に参加する
テレビなどに出るappear人前・画面などに登場する
商品が出るcome out / be released世の中に公開・発売される
結果が出るcome out / get a result結果が明らかになる

これは「出る=go out」のような一対一の対応表ではない。

たとえば「映画が出る」と「結果が出る」と「家を出る」では、英語が捉えている出来事そのものが異なるのである。

go out|内側から外へ行く

go outのコアイメージは、今いる場所から外へ向かって行くことである。

日本語の「外へ出る」「出かける」に近い場面でよく使われる。

I’m going out for a walk.
散歩に出かける。

He went out of the room.
彼は部屋の外へ出た。

ただし、「家を出る」を常にgo outとするわけではない。

単純に「家を離れた」ことを表すならleaveが自然なことも多い。

I left home at seven.
私は7時に家を出た。

go outは「外へ」という方向、leaveは「その場所を離れる」という点に焦点がある。

come out|中から外へ出てくる

come outの中心には、内部・隠れたところから外へ現れるというイメージがある。

The sun came out from behind the clouds.
太陽が雲の後ろから出てきた。

また、商品・作品などが世の中に出る場合にも使える。

Her new book comes out next month.
彼女の新しい本は来月出る。

ここでは「内部から外へ」という物理的な意味が、「まだ世に出ていない状態から公になる」という抽象的な意味へ広がっている。

leave|その場所を離れる

leaveのコアイメージは、今いる場所を後にすることである。

She left the office early.
彼女は早めに会社を出た。

日本語では「出る」と訳せるが、英語では「外へ」という方向よりも、「そこから離れる」ことに焦点がある。

そのため、

I left the restaurant.

なら「私はレストランを出た」である。

「出る」を英語にするとき、建物から外へ動くことばかり考えるとgo outを選びたくなる。しかし、「場所を離れる」という意味ならleaveが重要になる。

appear|見える世界に現れる

appearのコアイメージは、見えなかったものが見える状態になることである。

A rainbow appeared in the sky.
空に虹が出た。

He appeared on TV last night.
彼は昨夜テレビに出た。

日本語ではどちらも「出る」と言えるが、ここで重要なのは「外への移動」ではない。

人の目に触れる状態になることである。

この意味では「出る」より「現れる」と考えたほうが、英語のappearを理解しやすい。

emerge|内部・隠れた状態から現れる

emergeも「現れる」を表すが、appearよりも何かの内部・背後・隠れた状態から出てくるという感覚が強い。

The moon emerged from behind the clouds.
月が雲の後ろから姿を現した。

A new problem emerged.
新たな問題が出てきた。

物理的に何かが出てくる場合だけでなく、問題・傾向・事実などが明らかになる場合にも使われる。

appearが「見えるようになった」という結果を広く表せるのに対し、emergeには「隠れていたところから表面へ」という動きが感じられる。

「参加する・出演する・発売される」へ広がる英語

日本語では「出る」だけで表せる場面でも、英語では出来事の種類によって動詞が大きく変わる。

日本語英語表現捉え方
会議に出るattend a meeting会議に出席する
授業に出るattend a class授業に出席する
大会に出るparticipate in a tournament大会に参加する
試合に出るplay in a game / compete試合・競技に参加する
テレビに出るappear on TV画面に登場する
映画に出るappear in a movie / be in a movie作品に出演する
新商品が出るa new product comes out商品が世に出る
映画が出るa movie is released作品が公開される
結果が出るget a result / the results come out結果が得られる・明らかになる

ここに、日本語から英語を考える面白さがある。

日本語では「出る」という共通したイメージでまとめているものを、英語では「離れる」「外へ行く」「現れる」「参加する」「公開される」などに分けて表現しているのである。

「出る」の概念地図

「出る」の世界を概念で整理すると、次のようになる。

出る
├─ 内から外へ移動する
│ ├─ 外へ出る → go out
│ ├─ 中から出てくる → come out
│ └─ 内部から現れる → emerge
│
├─ 今いる場所を離れる
│ ├─ 家を出る → leave home
│ ├─ 部屋を出る → leave the room
│ └─ その場を去る → leave
│
├─ 見える状態になる
│ ├─ 虹が出る → appear
│ ├─ 月が出る → appear / come out
│ └─ 問題が出てくる → emerge
│
├─ 活動の場に加わる
│ ├─ 会議に出る → attend
│ ├─ 大会に出る → participate / compete
│ └─ テレビに出る → appear
│
└─ 社会・結果として表面化する
  ├─ 商品が出る → come out / be released
  ├─ 情報が出る → be released / come out
  └─ 結果が出る → come out / get a result

こうして見ると、go out、come out、leave、appear、emergeなどは、ばらばらの「出る」の英訳ではない。

日本語の「出る」という大きな概念世界の中から、どの方向の「出る」なのかを英語がより細かく切り分けていると考えると理解しやすい。

まとめ|「どこから、どのように出るのか」を考える

「出る」は非常に広い日本語である。

その中心には、「ある場所・状態・範囲の内側から、その外側へ」というイメージがある。しかし、そのイメージは物理的な移動だけでなく、参加、登場、発売、結果、発生などへ広がっている。

「出る」の方向日本語英語の中心表現
外へ移動する外に出るgo out
中から外へ現れる出てくるcome out
場所を離れる家・部屋を出るleave
見えるようになる現れる・姿を現すappear
隠れた状態から出る現れる・出てくるemerge
場に参加する会議に出るattend
競技に参加する大会・試合に出るparticipate / compete
人前に登場するテレビ・映画に出るappear
世の中に出る発売される・公開されるcome out / be released
結果として現れる結果が出るcome out / get a result

「出る=go out」と覚えるだけでは、この広い世界は捉えられない。

「今いる場所から外へ出る」のか。
「ある場所を離れる」のか。
「中から出てくる」のか。
「見えなかったものが現れる」のか。
「活動に参加する」のか。
「商品や情報が世の中に出る」のか。

どのような「出る」なのかを考えることで、使う英語が見えてくるのである。

コメントする