「植物」を表す言葉|草・木・花からplant・tree・flowerまで

「植物」を表す言葉

「植物」は、私たちの身の回りにある生き物を大きく分類するときによく使う言葉である。

「植物を育てる」
「植物が生えている」
「植物に水をやる」
「動物と植物」

などと使う。

しかし、日常生活ではすべてを「植物」と呼んでいるわけではない。

庭に一本立っていれば「木」、地面を覆っていれば「草」、きれいな花を咲かせれば「花」、農作物の中に勝手に生えてくれば「雑草」と呼ぶことがある。森全体を見れば「植物」より「植生」という言葉が使われることもある。

さらに、「植物」と「草木」では範囲や響きが違い、「植物」と「作物」では自然界の分類と人間にとっての用途という視点が違う。

英語でも同じである。

plant が「植物」の中心となる語だが、tree、grass、flower、weed、crop、vegetation など、「どのような植物なのか」によって表現が枝分かれする。

つまり、

植物=plant

という一対一の対応だけを覚えても、「植物」という世界全体を理解したことにはならない。

そもそも「植物」とはどのような概念なのだろうか。そして私たちは、どのような視点から植物を「草」「木」「花」「雑草」「作物」などに分けているのだろうか。

まず日本語の世界から整理してみよう。

「植物」に関係する日本語

「植物」には「見る・観る」のような同じ読みの漢字違いは特にない。そのため、まず周辺にある日本語を整理する。

日本語どのような「植物」なのか
植物植物という生物を広くまとめた言葉
草木のような硬い幹を持たない植物を日常的に表す
木木質の幹や枝を持つ植物
草木草と木をまとめた表現
花植物の花の部分、または花を楽しむ植物そのもの
野草野山などに自然に生える草
雑草人間にとって望ましくない場所に生える草など
樹木木をやや客観的・専門的に表す
樹木類木本植物をまとめて扱う表現
作物人が利用するために栽培する植物
農作物農業によって生産される作物
野菜主に食用として栽培される植物・その食用部分
ハーブ香り・薬用・料理などに利用される植物
観葉植物葉の形や色を楽しむために育てる植物
植木庭などに植えたり移植したりする木
植生ある地域に生育している植物全体の状態・まとまり
植物相ある地域に存在する植物の種類全体

ここで重要なのは、これらが同じ基準で分類された言葉ではないことである。

「草」と「木」は主に形や成長のしかたから分けている。

「花」は目立つ部分に注目した呼び方である。

「雑草」は人間にとって必要かどうかという視点が入る。

「作物」は人間が利用するために育てるかという分類である。

「植生」は、一つ一つの植物ではなく地域全体を見ている。

「植物」という一つの世界を、私たちはさまざまな角度から切り分けているのである。

「植物」の概念はどこへ枝分かれするのか

「植物」を中心にすると、概念は次のような方向へ枝分かれする。

概念の軸日本語中心となる違い
大分類植物・草木生物分類として見るか、日常的にまとめるか
形草・木草のように生えるか、木質の幹を持つか
部分植物・花・葉・実植物全体か、その一部分か
生育場所野草・水草などどこに生えているか
人との関係雑草・作物不要な植物か、利用するための植物か
用途野菜・ハーブ・観葉植物食用・香り・観賞など何に使うか
集団植物・植生個々の植物か、地域の植物全体か
種類植物・植物相個体を見るか、地域に存在する種類を見るか

つまり、「植物」という言葉から、

形 → 生育場所 → 人との関係 → 用途 → 集団

という複数の方向へ概念が広がっている。

この構造を理解してから英語を見ると、plant、tree、grass、weed、crop、vegetation などの関係も理解しやすくなる。

「植物」と「草木」|分類として見るか、身近な自然として見るか

「植物」と「草木」は、どちらも草や木を広くまとめることができる。

しかし、言葉の視点が少し違う。

「植物」は、生物としての分類を意識しやすい。

「植物について研究する」
「動物と植物の違い」
「この植物の名前を調べる」

などである。

一方、「草木」は、

「山の草木」
「春になって草木が芽吹く」

のように、身近な自然の中にある草や木をまとめて表すことが多い。

したがって、

植物
→ 生物として広くとらえる

草木
→ 草と木を自然の風景としてまとめてとらえる

という違いがある。

「草木」は必ずしも科学的な分類語ではない。

「植物」と「草」|大きなカテゴリーか、その中の一つの姿か

「植物」は非常に広い概念であり、木も草も含む。

「草」はその中でも、日常的には地面から生え、木のような硬い幹を持たない植物を表す。

たとえば、

「庭に植物が生えている」

と言えば、何が生えているのかはわからない。

「庭に草が生えている」

と言えば、地面を覆うような小さな植物をイメージしやすい。

ただし、日常語の「草」と植物学的な分類は完全には一致しない。

重要なのは、

植物
→ 大きなカテゴリー

草
→ その中でも草らしい姿をした植物

という関係である。

「植物」と「木」|植物全体か、木質化した植物か

「木」も植物の一種である。

日常的には、一本の幹があり、枝を伸ばし、大きく育つ植物を「木」と認識しやすい。

「庭に植物を植えた」

なら、草花か木かはわからない。

「庭に木を植えた」

なら、樹木であることがわかる。

また「樹木」は「木」より客観的・分類的な響きを持つ。

「大きな木の下で休む」は自然だが、「大きな樹木の下で休む」とすると説明的になる。

したがって、

木
→ 日常的な呼び方

樹木
→ 木という植物を分類・管理などの視点から見る表現

という違いもある。

「植物」と「花」|植物全体か、花という部分・特徴か

「花」は少し複雑な言葉である。

本来、花は植物の一部分である。

「この植物に白い花が咲いた」

では、「植物」と「花」は全体と部分の関係になっている。

しかし、

「庭に花を植える」
「花を育てる」

という場合、「花」は花そのものだけでなく、花を咲かせる植物まで指している。

そのため、

「これは何の植物?」

と聞く場合と、

「これは何の花?」

と聞く場合では、注目している部分が違う。

植物
→ 生物全体として見る

花
→ 花という目立つ部分、または花を楽しむ植物として見る

という違いである。

この関係は英語の plant と flower を理解するときにも重要になる。

「草」と「雑草」|植物の形か、人間にとって不要か

「雑草」は単純に植物の種類を表す言葉ではない。

重要なのは、その場所で人間に望まれているかどうかである。

畑に自然に生え、作物の成長を邪魔する植物なら「雑草」と呼ばれる。

庭で意図せず生えた植物も「雑草」と呼ばれることがある。

しかし、同じ種類の植物でも、観賞目的で育てていれば雑草とは呼ばれないことがある。

つまり、

草
→ 植物の姿に注目した言葉

雑草
→ 人間との関係から見た言葉

である。

「雑草」というカテゴリーは、植物そのものの性質だけでは決まらない。

「野草」と「雑草」|自然に生えているか、邪魔だと見なされるか

「野草」と「雑草」は似て見えるが、視点が違う。

「野草」は、野山などに自然に生えている草を表す。

「雑草」は、人間が管理する場所などで望まれていない植物を表す。

たとえば、道端に咲く小さな植物を、

「かわいい野草だ」

と見ることもあれば、

「庭に雑草が増えた」

と見ることもある。

つまり、

野草
→ 自然に生えていることに注目する

雑草
→ 人間にとって邪魔・不要であることに注目する

という違いである。

同じ植物でも、人との関係によって呼び方が変わり得る。

「植物」と「作物」|自然界の生物か、人が育てて利用するものか

「作物」は、人間が利用するために栽培する植物である。

米、小麦、大豆、トウモロコシなどは植物であると同時に作物でもある。

しかし、山に自然に生えている木を普通「作物」とは呼ばない。

したがって、

植物
→ 生物として見る

作物
→ 人間が栽培し、利用・収穫するものとして見る

という違いになる。

同じ植物でも、「自然界の一員」という視点から「人間が生産するもの」という視点へ変わることで、言葉が変化するのである。

「作物」と「野菜」|栽培するもの全体か、主に食べるものか

「作物」は「野菜」より広い。

米や小麦なども作物であるが、普通は野菜とは呼ばない。

「野菜」は、人が食べる目的で栽培する植物やその食用部分を指す。

したがって、

作物
→ 人が栽培して利用する植物

野菜
→ その中でも主に食用となるもの

という関係になる。

ただし、「野菜」は植物学的な分類ではなく、食文化や利用方法に基づくカテゴリーである。

トマトやキュウリを植物学的な「果実」という視点から見るのか、食材として「野菜」と見るのかによって分類が変わるのと同じである。

「植物」と「植生」|一つ一つを見るか、地域全体を見るか

「植生」は、一つの植物を指す言葉ではない。

「高山の植生」
「森林の植生」
「この地域の自然植生」

などと使う。

ここでは、ある地域にどのような植物が生え、どのようなまとまりを作っているのかを見ている。

したがって、

植物
→ 一つ一つの生物や植物というカテゴリー

植生
→ ある地域に生育する植物のまとまり・状態

という違いがある。

英語では、この方向に vegetation という重要な語がある。

ここまでの日本語を概念で整理すると

ここまでの「植物」の世界をまとめると、次のようになる。

概念日本語表現
植物という生物を広く見る植物
草と木をまとめて見る草木
草のような姿をした植物草
木質の幹を持つ植物木・樹木
花という部分・特徴に注目する花
自然に生えている草野草
人間にとって望ましくない植物雑草
人が栽培して利用する植物作物・農作物
食用として利用する野菜
香り・料理・薬用などに利用するハーブ
観賞目的で育てる観葉植物
地域に生える植物のまとまり植生
地域に存在する植物の種類植物相

このように、「植物」という一語の周囲には、形・部分・生育場所・人との関係・用途・集団という複数の分類軸が存在する。

では、英語ではこの世界をどのように表すのだろうか。

英語では「植物」をどう表すのか?

英語で「植物」を表す中心語は plant である。

しかし、「木」なら tree、「草」なら grass、「花」なら flower、「雑草」なら weed、「作物」なら crop というように、視点によって別の語が使われる。

日本語のイメージ英語コアイメージ
植物plant一つの植物という生き物
木tree木質の幹を持ち大きく育つ植物
草grass細長い葉を持つイネ科を中心とした植物
花flower植物の花、または花を楽しむ植物
雑草weed望まれていない場所に生える植物
作物crop人が栽培し収穫するもの
植生vegetationある場所に生えている植物全体
植物相flora地域・時代などに存在する植物の種類全体

この表も「日本語=英語」という一対一の対応表ではない。

特に注意したいのが grass である。

日本語の「草」はかなり広く使えるが、英語の grass は基本的には芝やイネ科の草などを指す。そのため、草=grass と機械的に置き換えることはできない。

同様に flower も植物全体を表す plant とは視点が異なる。

日本語でどのような植物として見ているのかを考えてから、英語へ進むことが重要である。

plant|一つの「植物」としてとらえる

plant は、「植物」を表す最も基本的な英語である。

コアイメージは、一つの植物という生き物である。

There are many plants in the garden.
庭にはたくさんの植物がある。

This plant needs a lot of water.
この植物にはたくさんの水が必要である。

She grows plants in her room.
彼女は部屋で植物を育てている。

plant は木・草・花などを含む広いカテゴリーとして使える。

ただし日常会話では、大きな木を見て plant と呼ぶより tree と呼ぶほうが普通である。

つまり、カテゴリーとしては木も植物だが、具体的な姿がわかっていれば、より具体的な語が選ばれるのである。

tree|幹と枝を持って大きく育つ植物

tree は「木」を表す中心的な語である。

There is a large tree in front of the house.
家の前に大きな木がある。

We planted two trees in the garden.
私たちは庭に2本の木を植えた。

tree も植物なので、大きな分類では plant に含まれる。

しかし、

There is a plant in front of the house.

と言えば、聞き手は木よりも比較的小さな植物を想像する可能性がある。

英語では、具体的に「木」だとわかっているなら tree を使うのが自然である。

plant
→ 植物という広いカテゴリー

tree
→ 木という具体的な形態

という関係で理解するとよい。

grass|地面を覆う「草」

grass は日本語で「草」と訳されることが多い。

The grass is wet.
草がぬれている。

The children are sitting on the grass.
子どもたちは芝生の上に座っている。

しかし、日本語の「草」と grass の範囲は同じではない。

日本語では、道端に生えているさまざまな小さな植物をまとめて「草」と呼ぶことができる。

一方、英語の grass は、芝生やイネ科を中心とする草を指す。

そのため、「庭に知らない草が生えている」を必ず grass で表せるとは限らない。

その植物が何なのかわからなければ plant、望まれていない植物として見るなら weed など、別の表現が自然になることがある。

flower|植物全体ではなく「花」に注目する

flower は、植物が咲かせる「花」を表す。

This plant has beautiful flowers.
この植物には美しい花が咲いている。

この文では plant が植物全体、flowers がその一部分である。

一方、

She grows flowers in her garden.
彼女は庭で花を育てている。

のように、flowers で花を楽しむ植物そのものを指すこともできる。

つまり flower には、

植物の一部分としての花
↓
花を特徴とする植物

という意味の広がりがある。

これは日本語の「花」とよく似た現象である。

weed|「植物の種類」ではなく望まれていない植物

weed は「雑草」と訳される。

There are weeds in the garden.
庭に雑草が生えている。

I pulled the weeds out.
私は雑草を抜いた。

weed の重要なポイントは、特定の植物分類そのものではなく、その場所で望まれていない植物ということである。

ある場所では大切に育てられる植物でも、別の場所に勝手に生えれば weed と見なされることがある。

つまり、

plant
→ 植物そのものを見る

weed
→ 人間との関係から植物を見る

という違いである。

この考え方は、日本語の「植物」と「雑草」の関係にも近い。

crop|人が育てて収穫する植物

crop は「作物」「農作物」に近い語である。

コアイメージは、人が栽培し、収穫するものである。

Rice is an important crop in Japan.
米は日本の重要な作物である。

Farmers grow different crops in this area.
この地域の農家はいろいろな作物を育てている。

植物そのものの形ではなく、農業・生産・収穫という人間との関係から分類している。

同じトウモロコシでも、生物として見れば plant、農業生産物として見れば crop になる。

対象そのものではなく、どの視点から見ているかによって単語が変わる好例である。

vegetation|ある場所に生えている植物全体

vegetation は、一つ一つの植物よりもある場所に生えている植物全体を表す。

The island has thick vegetation.
その島には植物が生い茂っている。

The fire destroyed much of the vegetation.
その火事で多くの植生が失われた。

plant との違いは、個体を見るか集合を見るかである。

plant
→ 一つ一つの植物

vegetation
→ ある地域を覆う植物全体

したがって、普通は一本の植物を指して a vegetation とは言わない。

日本語では文脈によって「植生」「植物」「草木」などと訳される。

flora|その地域には「どんな植物がいるか」

vegetation とともに覚えておきたいのが flora である。

flora は、ある地域・時代などに存在する植物の種類全体、植物相を表す。

The island has unique flora.
その島には独特の植物相がある。

vegetation と flora は似ているが、注目点が異なる。

vegetation
→ そこに植物がどのように生えているかというまとまり

flora
→ そこにどのような植物の種類が存在するか

という違いである。

日本語でも「植生」と「植物相」は似ているが、同じではない。

草・低木・木へ広がる英語|grass・herb・shrub・bush・tree

植物を形や大きさから見ると、さらに多くの英語表現が現れる。

植物のイメージ英語中心となる概念
芝・イネ科などの草grass細い葉を持ち地面を覆う
草本植物herb木質化しない植物、または香草
低木shrub木より低く、根元近くから枝分かれする木本植物
茂み・低木bush茂った姿をした低木
木treeはっきりした幹を持ち大きく育つ
つる植物vine他のものに沿ったり絡んだりして伸びる

ここで特に注意したいのが herb である。

日常英語では料理や薬用などに使う「ハーブ」の意味がよく知られているが、植物学的な文脈では木質化しない草本植物を表すこともある。

また、shrub と bush も完全な同義語ではない。shrub は植物の形態を分類する語として使われやすく、bush は茂った見た目を表しやすい。

このように、日本語の「草」「木」の間にも、英語ではさらに細かな植物の世界が広がっている。

「植物」の概念地図

「植物」の世界を、日本語から英語へつなげると次のようになる。

植物
│
├─ 植物という生き物として見る
│   └─ plant
│
├─ 形から見る
│   ├─ 草
│   │   ├─ grass
│   │   └─ herb
│   ├─ 低木
│   │   ├─ shrub
│   │   └─ bush
│   └─ 木
│       └─ tree
│
├─ 花に注目する
│   ├─ 花
│   └─ flower
│
├─ 人間との関係から見る
│   ├─ 雑草
│   │   └─ weed
│   └─ 作物
│       └─ crop
│
├─ 成長のしかたから見る
│   └─ つる植物
│       └─ vine
│
└─ 地域全体を見る
    ├─ 植生
    │   └─ vegetation
    └─ 植物相
        └─ flora

この地図を見ると、plant、tree、grass、flower、weed、crop は単なる「植物の類義語」ではないことがわかる。

大きな「植物」という概念があり、そこから形・部分・人間との関係・用途・集団によって言葉が枝分かれしているのである。

まとめ|「どのような植物として見ているのか」を考える

「植物」は非常に広い概念である。

木も草も花を咲かせる植物も、雑草も農作物も、大きく見れば植物である。

しかし、私たちはすべてを同じ「植物」として見ているわけではない。

概念日本語代表的な英語
植物という生物植物plant
木質の幹を持つ木・樹木tree
地面を覆う草草・芝grass
花に注目する花flower
望まれていない植物雑草weed
栽培して収穫する作物crop
低い木本植物低木shrub / bush
つる状に伸びるつる植物vine
地域の植物全体植生vegetation
地域に存在する植物の種類植物相flora

大切なのは、「植物=plant」とだけ覚えないことである。

「植物そのものを見ているのか」
「草なのか木なのか」
「花という部分に注目しているのか」
「人間にとって雑草なのか作物なのか」
「一本の植物なのか、地域全体の植物なのか」

という違いを考える。

同じ植物でも、見る角度が変われば言葉も変わる。

日本語の「植物」から、草・木・花・雑草・作物・植生へと概念を広げ、その先に plant、grass、tree、flower、weed、crop、vegetation を置く。

そうすることで、ばらばらの英単語を暗記するのではなく、「植物」という一つの概念世界の中で英語を理解できるようになるのである。

コメントする