「もらう」を表す言葉|受け取る・いただく・手に入れるからget・receive・acceptまで

「もらう」を表す言葉

「もらう」は、日常会話で非常によく使われる日本語である。

「友達からプレゼントをもらう」
「会社から給料をもらう」
「先生に教えてもらう」
「薬をもらう」
「許可をもらう」

どれも「もらう」であるが、実際に起きていることは同じではない。

物が自分のところへ移ってくる場合もあれば、情報や許可を得る場合もある。さらに「教えてもらう」のように、相手の行為によって自分が利益を受けることもある。

近い日本語にも「受け取る」「受ける」「いただく」「手に入れる」「受領する」「獲得する」などがある。

そして英語になると、get、receive、accept、obtainなどへ概念が分かれていく。

重要なのは「もらう=get」と覚えることではない。

そもそも「もらう」とは、どのような概念なのだろうか。

「もらう」と「貰う」|ひらがなと漢字の違い

「もらう」には漢字で「貰う」という表記がある。ただし、現代の一般的な文章では「もらう」とひらがなで書くことが多い。

表記中心となる概念使用例
もらう人から何かを受けるプレゼントをもらう
貰う「もらう」と同じプレゼントを貰う

意味そのものに大きな違いはない。

また、「見てもらう」「教えてもらう」のように補助動詞的に使う場合は、ひらがなで「もらう」と書くのが一般的である。

したがって、この記事でも基本的に「もらう」と表記する。

「もらう」に関係する日本語

「もらう」の周辺には、「何かが自分の側へ来る」という共通点を持ちながら、異なる概念を表す言葉が広がっている。

日本語どのような「もらう」なのか
もらう相手から何かを自分の側へ受ける
受け取る渡されたものを実際に受ける
受ける行為・影響・サービスなどを受ける
いただく「もらう」の謙譲的な表現
手に入れる欲しいものを自分のものにする
入手する必要な物・情報などを手に入れる
受領する書類・金銭などを正式に受け取る
獲得する努力や競争によって得る
取得する資格・権利・データなどを得る
授かる上位の存在などから大切なものを与えられる
頂戴する「もらう」を丁寧・謙譲的に表す
恵まれる良いものや条件を与えられる
教えてもらう相手に教える行為をしてもらう
手伝ってもらう相手に手伝う行為をしてもらう

このように「もらう」は、単なる物の移動だけを表す言葉ではない。

物・情報・権利・利益・行為などを、自分の側へ受け入れる世界へ広がっている。

「もらう」の概念はどこへ枝分かれするのか

「もらう」の周辺を整理すると、いくつかの軸が見えてくる。

概念の軸日本語表現違い
基本的な受け取りもらう / 受け取る人から得るか、受け渡しそのものを見るか
行為・影響もらう / 受ける所有より経験・作用に注目する
敬意もらう / いただく相手との関係を表す
入手もらう / 手に入れる / 入手する誰かから与えられる必要はない
努力もらう / 獲得する自分の努力によって得る
正式性もらう / 受領する公式な受け取りである
権利・資格もらう / 取得する制度的に得る
恩恵もらう / 授かる特別なものを与えられる
相手の行為〜てもらう相手の行為から利益を受ける

中心にあるのは「自分の側に何かが来る」という方向性である。

そこから「どうやって来るのか」「何が来るのか」「誰から来るのか」によって言葉が枝分かれしている。

「もらう」と「受け取る」|人から得るか、受け渡しに注目するか

「もらう」は、何かを与えられて自分のものにすることに焦点がある。

「誕生日に友達から本をもらった。」

ここでは「友達→自分」という方向が意識されている。

一方、「受け取る」は受け渡しという動作そのものに焦点がある。

「宅配便から荷物を受け取った。」

荷物が贈り物である必要はない。自分が注文した商品でも「受け取る」と言える。

そのため、

「プレゼントをもらう」
「プレゼントを受け取る」

はどちらも自然だが、視点が少し異なる。

もらう=与えられたものを自分の側から見る

受け取る=渡されたものを受ける動作を見る

という違いがある。

「もらう」と「受ける」|物を得るか、作用を経験するか

「受ける」は「もらう」よりさらに広い。

「診察を受ける」
「説明を受ける」
「試験を受ける」
「影響を受ける」

これらは普通「診察をもらう」「試験をもらう」とは言わない。

「受ける」は、何かが自分に向かって作用することを表す。

一方、「もらう」は自分の側に何らかの利益や成果が残る感覚を持ちやすい。

「アドバイスをもらった。」
「アドバイスを受けた。」

前者はアドバイスというものを得た感覚、後者は助言という働きかけを受けた感覚が強い。

「もらう」と「いただく」|受け取る相手への敬意

「いただく」は「もらう」の謙譲表現として使われる。

「先生から本をもらった。」
「先生から本をいただいた。」

起きている出来事はほぼ同じである。

違うのは、人間関係の捉え方である。

「いただく」では、自分を低く置き、相手から受けることへの敬意や感謝を表す。

「資料をいただき、ありがとうございます。」

のように、仕事や改まった場面でも頻繁に使われる。

したがって、「もらう」と「いただく」の違いは物の移動ではなく、話し手と相手との関係にある。

「もらう」と「手に入れる」|誰かから与えられる必要があるか

「もらう」には通常、与える側が存在する。

「父から時計をもらった。」

一方、「手に入れる」は結果に焦点がある。

「ずっと欲しかった時計を手に入れた。」

買ったのか、もらったのか、交換したのかは重要ではない。

つまり、

もらう → 誰かから自分へ

手に入れる → 自分が所有・利用できる状態になる

という違いである。

「入手する」もこの方向に近いが、「必要なものを確保する」というやや事務的な響きを持つ。

「もらう」と「獲得する」|与えられるか、勝ち取るか

「獲得する」には、自分の行動や努力によって得る感覚がある。

「大会で優勝して賞金を獲得した。」

賞金を実際に受け取る場面なら「賞金をもらった」とも言える。

しかし視点が違う。

「賞金を獲得した」は、競争などの結果として得る資格を勝ち取ったことに焦点がある。

「賞金をもらった」は、賞金が自分へ与えられたことに焦点がある。

同じ出来事でも、どこを見るかによって日本語が変わるのである。

「もらう」と「授かる」|特別なものを与えられる

「授かる」は、単なる受け取りとは異なる。

「賞を授かる」
「子どもを授かる」
「知恵を授かる」

など、大切なものや特別なものが自分に与えられる場合に使われる。

自分から積極的に取りに行ったというより、上位の存在や運命などから与えられたという感覚を持つ。

日常的な「もらう」よりも限定された表現である。

「〜てもらう」|物ではなく相手の行為を受ける

日本語の「もらう」で特に重要なのが「〜てもらう」である。

「友達に手伝ってもらった。」
「先生に説明してもらった。」
「母に駅まで送ってもらった。」

ここでは物を受け取っているわけではない。

受け取っているのは、相手がしてくれた行為による利益である。

日本語では、

「物をもらう」
↓
「行為をしてもらう」

という概念的な広がりがある。

この発想は英語へ移るときに特に重要である。英語では日本語の「〜てもらう」に対応する一つの万能動詞があるわけではなく、文の作り方そのものが変わることが多い。

ここまでの日本語を概念で整理すると

概念日本語表現
基本的に人から得るもらう
渡されたものを受ける受け取る
行為・作用を経験する受ける
敬意を込めて受けるいただく / 頂戴する
自分のものにする手に入れる
必要なものを確保する入手する
正式に受け取る受領する
努力して得る獲得する
資格・権利などを得る取得する
特別なものを与えられる授かる
相手の行為から利益を受ける〜てもらう

「もらう」の中心には、外から自分の側へ何かが移ってくるという方向性がある。

しかし日本語だけを見ても、その「何か」と「受け取り方」によって多くの表現に分かれている。

英語では「もらう」をどう表すのか?

では、英語では「もらう」をどう表すのか。

代表的な表現を、日本語側で整理した概念から見てみよう。

日本語のイメージ英語コアイメージ
広く何かを得るget自分のところに得る
与えられたものを受け取るreceive外から自分へ届く
提示されたものを受け入れるaccept受け取ることを受諾する
必要なものを入手するobtain努力・手続きなどを通して得る
努力して獲得するearn努力や働きに値するものを得る
勝ち取るwin競争などの結果として得る

この表は「もらう=get」「受け取る=receive」という一対一の対応表ではない。

たとえば、日本語では「プレゼントをもらう」と言える場面でも、英語では何を強調するかによって get、receive、accept などの選択肢が生まれる。

重要なのは、日本語訳ではなく出来事をどの角度から捉えているかである。

get|自分のところに何かを得る

getは非常に広い動詞である。

コアイメージは、何かが自分のもの・自分の状態になることである。

I got a present from my friend.
友達からプレゼントをもらった。

日常会話では、日本語の「もらう」に近い場面で非常によく使われる。

しかしgetは「誰かから与えられる」ことだけを意味するわけではない。

I got a new phone yesterday.
昨日、新しいスマートフォンを手に入れた。

買った可能性もある。

つまりgetの中心は「もらう」ではなく、得る・手に入るという変化である。

この点が日本語の「もらう」と完全には一致しない理由である。

receive|外から自分へ届く

receiveのコアイメージは、外から送られてきたものを受けることである。

I received a letter from her.
彼女から手紙を受け取った。

物だけではない。

We received some good news.
私たちは良い知らせを受け取った。

getよりも「送る側→受ける側」という方向が明確である。

また、getよりやや改まった場面でも使いやすい。

日本語では「もらう」「受け取る」「受ける」などに訳される可能性がある。

accept|差し出されたものを受け入れる

acceptはreceiveとは視点が違う。

コアイメージは、差し出されたものを拒まず受け入れることである。

She accepted the gift.
彼女はその贈り物を受け取った。

ここで重要なのは「手元に届いた」という事実ではない。

「受け取ることを受け入れた」という意思である。

たとえば、

I received the offer, but I didn’t accept it.
その申し出を受け取ったが、受け入れなかった。

という区別もできる。

receiveは「届く・受け取る」、acceptは「受け入れる」である。

日本語の「もらう」の背後にある別々の概念が、英語では異なる動詞として現れている。

obtain|必要なものを手に入れる

obtainは、単に与えられたものを受け取るというより、何らかの過程を経て必要なものを得るという語である。

You need to obtain permission first.
まず許可を得る必要がある。

He obtained a copy of the document.
彼はその書類のコピーを入手した。

日本語の「入手する」「取得する」「得る」に近い場面で使われる。

getよりもフォーマルで、日常的な「プレゼントをもらう」のような場面では通常getやreceiveのほうが自然である。

earn|努力に対するものを得る

earnには、働き・努力・行動に値するものを得るという考え方がある。

She earns a good salary.
彼女は良い給料を得ている。

日本語では「給料をもらう」と言うため、英語でもgetを使いたくなるかもしれない。

しかし給料は単に誰かから与えられる物ではなく、働いた対価でもある。

そのためearnという別の概念が使える。

さらに、

He earned their respect.
彼は彼らの尊敬を勝ち取った。

のように、お金以外にも広がる。

ここでも「日本語の『もらう』を何と訳すか」ではなく、「なぜそれを得たのか」を見ることが重要である。

「〜てもらう」は英語でどう表すのか?

「〜てもらう」は、日本語と英語の考え方の違いがよく現れる表現である。

たとえば、

「友達に手伝ってもらった。」

を考えてみよう。

英語では、

My friend helped me.
友達が私を手伝ってくれた。

と表現できる。

日本語では「私」を中心にして「手伝ってもらった」と捉えている。

英語では「友達」を主語にして「友達が私を手伝った」と捉えられる。

また、自分が依頼して何かをしてもらう場合には、

I had my hair cut.
髪を切ってもらった。

のようにhaveを使うこともある。

つまり「〜てもらう」を見たら、必ず英語の「もらう」に相当する動詞を探す必要はない。

誰が何をしたのかという出来事全体を英語で組み直すことが重要である。

周辺の英語表現|「得る」の方法によって言葉が変わる

「もらう」の周辺にある英語を整理すると、「何をどのように得るのか」という違いが見えやすい。

概念英語例
広く得るgetget a present
外から受け取るreceivereceive a letter
受け入れるacceptaccept a gift
入手するobtainobtain information
努力の対価として得るearnearn money
競争で勝ち取るwinwin a prize
集めて得るcollectcollect information
拾って受け取るpick uppick up a package

たとえば日本語では、

「賞をもらった」

と簡単に言える。

しかし英語では状況によって、

  • received an award
  • won an award
  • got an award

などが考えられる。

授与されたことを見るのか、勝ち取ったことを見るのか、単に得たことを見るのかによって英語が変わるのである。

「もらう」の概念地図

「もらう」の世界を概念として整理すると、次のようになる。

もらう
=外から自分の側へ何かが来る

├─ 人から何かを得る
│ └─ get
│
├─ 渡されたものを受け取る
│ └─ receive
│
├─ 差し出されたものを受け入れる
│ └─ accept
│
├─ 必要なものを手に入れる
│ └─ obtain
│
├─ 努力によって得る
│ └─ earn
│
├─ 競争によって得る
│ └─ win
│
└─ 相手に行為をしてもらう
  └─ help / have + 目的語 + 過去分詞など、出来事に応じて表現する

こうして見ると、get、receive、accept、obtain、earnは、ばらばらの英単語ではない。

すべて「何かを自分の側へ得る」という大きな概念世界の中にあり、何を・どのように得るのかによって枝分かれしているのである。

まとめ|「どのようにもらうのか」を考える

「もらう」は日本語では非常に広く使える。

しかし、その中には「受け取る」「受ける」「いただく」「手に入れる」「獲得する」「授かる」など、さまざまな概念が含まれている。

どのような「もらう」か日本語英語の代表例
広く何かを得るもらう / 手に入れるget
外から渡されたものを受ける受け取るreceive
差し出されたものを受け入れる受け入れるaccept
必要なものを確保する入手する / 取得するobtain
努力の対価として得る稼ぐ / 獲得するearn
競争によって得る勝ち取るwin
相手の行為によって利益を受ける〜てもらう文全体で表現

「もらう=get」と覚えるだけでは、この違いは見えてこない。

まず日本語の「もらう」の中に、人から与えられる、受け取る、受け入れる、手に入れる、努力して獲得する、行為による利益を受けるといった複数の方向があることを理解する。

そのうえで英語を見ると、get、receive、accept、obtain、earnなどが、なぜ別々の言葉として存在しているのかが見えてくる。

「もらう」を英語に訳すのではない。

「どのようにもらうのか」を考えることで、使う英語が見えてくるのである。

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