「同じ」を表す言葉|同一・一致・似ているからsame・identical・equalまで

「同じ」を表す言葉

「同じ」は、日常会話で非常によく使う言葉である。

「同じ服を着ている」
「二人の意見は同じだ」
「同じ大きさだ」
「前と同じ方法でやる」

どれも「同じ」で表せるが、実際には同じ意味ではない。

二つの物がまったく同一なのか。別々の物だが種類が同じなのか。大きさや数値が等しいのか。意見や結果が一致しているのか。それとも単に似ているだけなのか。

英語でも、この違いによって same、identical、equal、alike、similar などが使い分けられる。

つまり、「同じ=same」と覚えるだけでは、「同じ」という概念世界の一部しか見えてこない。

そもそも「同じ」とは、何が、どの程度、どのように一致している状態なのだろうか。

「同じ」と「同一」|一つのものなのか、違いがないのか

「同じ」には、「同一」という漢語が深く関係している。ただし、日常語としての「同じ」はかなり広く、「同一」はより厳密な一致を表すことが多い。

表現中心となる概念使用例
同じ何らかの点で違いがない同じ色の服
同一まったく同じもの・一致するもの同一人物
同様状態・性質・方法などが同じようである同様の方法
同等程度・価値・能力などが等しい同等の性能

たとえば「二人が同じ服を着ている」と言っても、一着の服を二人で着ているわけではない。同じ種類やデザインの別々の服を着ているという意味である。

一方、「防犯カメラに映った人物と同一人物である」と言えば、単に似ているのではなく「その人そのもの」という意味になる。

「同じ」は、完全な同一から部分的な共通までを広く包み込む日本語なのである。

「同じ」に関係する日本語

「同じ」の周辺には、何が一致しているのかによってさまざまな表現がある。

日本語どのような「同じ」なのか
同じ違いがないことを広く表す
同一まったく同じもの・同じ存在
一致する複数のものが合う
等しい数量・程度・価値などに差がない
同等能力・価値・程度などが同じ水準
同様状態・方法・性質などが同じようである
共通する複数のものに同じ要素がある
揃う複数のものが同じ状態になる
一様全体に違いがなく揃っている
似ている共通点が多いが完全には同じではない
そっくり非常によく似ている
類似する特徴や性質が似ている
同型型・形式が同じ
同種種類が同じ
同量量が同じ

ここで重要なのは、「同じ」と「似ている」の間に明確な一本の境界線があるわけではないことである。

日常会話では「ほとんど同じ」と言うこともある。「同じ」は、文脈によって完全一致にも大まかな一致にも使われる。

「同じ」の概念はどこへ枝分かれするのか

「同じ」の世界は、「何が一致しているのか」という視点から整理すると分かりやすい。

概念の軸日本語ポイント
存在同じ・同一そのもの自体が同じ
種類同じ・同種同じカテゴリーに属する
特徴同じ・同様性質や状態が共通する
数量同じ・等しい数や量に差がない
水準同じ・同等価値・能力・程度が等しい
対応同じ・一致する二つ以上のものが合う
共通部分共通する一部に同じ要素がある
類似似ている・そっくり完全一致ではないが近い

つまり、

存在そのものが同じ

と

別々のものだが同じ特徴を持つ

では、同じ「同じ」でも概念が大きく異なるのである。

「同じ」と「同一」|そのもの自体が同じか

「同じ」は非常に柔軟な言葉である。

「昨日と同じ服を着る」と言った場合、本当に昨日着ていたその服を着る場合もあれば、同じデザインの別の服を指す場合もあり得る。

「同一」はもっと厳密である。

  • 同一人物
  • 同一商品
  • 同一条件
  • 同一地点

など、「別のものではなく、それと同じもの」という意味を強く出す。

「この二つは同じだ」は日常的で広い表現であるのに対し、「この二つは同一である」は完全な一致を意識した硬い表現である。

「同じ」と「等しい」|特徴が同じか、値が同じか

「等しい」は、比較できる量や程度に差がないことを表しやすい。

たとえば、

「二本の棒は同じ長さである」

とは自然に言える。

ここで注目しているのは「長さ」という値である。そのため、

「二本の棒の長さは等しい」

とも言える。

しかし、「私は彼と同じ学校に通っている」を「私は彼と等しい学校に通っている」とは言わない。

「等しい」は「=」で結べるような数量・程度・価値などとの相性がよいのである。

「同じ」と「一致する」|状態か、照合した結果か

「一致する」は、二つ以上のものを比べた結果、対応する部分が合っているという概念を持つ。

たとえば、

「二人の意見は同じだ」

とも、

「二人の意見は一致している」

とも言える。

ただし、「一致する」には比較したものが合うという動きが感じられる。

「指紋が一致する」
「証言が一致する」
「計算結果が一致する」

などが典型である。

単に同じ状態を表す「同じ」に対し、「一致する」は照らし合わせた結果としての「同じ」に近い。

「同じ」と「同様」|完全一致か、同じようなものか

「同様」は、「まったく同一」というよりも「性質・状態・方法などが同じようである」という意味で使われる。

「前回と同じ方法で行う」

と

「前回と同様の方法で行う」

はかなり近い。

ただし「同様」には、「細部まで完全に同じとは限らないが、基本的には同じようなもの」という幅がある。

そのため「同様」は、完全一致と類似の中間に位置することも多い。

「同じ」と「似ている」|一致しているか、共通点が多いか

「似ている」は、「同じ」の境界を理解するうえで重要な言葉である。

「この二つのバッグは同じだ」と言えば、普通は同じ商品や同じデザインなど、かなり強い一致を想像する。

「この二つのバッグは似ている」であれば、別の商品だが形や色などに共通点があるという意味になる。

つまり、

同じ → 違いに注目しない

似ている → 違いはあるが共通点が多い

という違いがある。

「そっくり」は「似ている」をさらに強めた表現である。しかし、どれほどそっくりでも、必ずしも「同一」とは限らない。

「同じ」と「共通する」|全部が同じか、一部が同じか

「共通する」は、複数のものの中に同じ要素が存在することを表す。

たとえば、

「二人には共通する趣味がある」

という場合、二人の趣味がすべて同じなのではない。趣味の一部が重なっているのである。

これは「同じ」の重要な枝分かれである。

二つのもの全体が同じなのではなく、ある部分だけが同じという概念が「共通」である。

ここまでの日本語を概念で整理すると

概念日本語表現
広い意味で違いがない同じ
そのもの自体が同じ同一
比較した結果が合う一致する
数量・程度に差がない等しい
水準・価値が同じ同等
状態・方法などが同じようである同様
一部に同じものがある共通する
全体が揃っている一様
違いはあるが共通点が多い似ている
非常によく似ているそっくり

こうして見ると、日本語の「同じ」は「完全に一つである」という意味だけではない。

存在・種類・特徴・数量・水準・部分的共通・類似まで広がる大きな概念なのである。

英語では「同じ」をどう表すのか?

では、この概念世界を英語ではどのように表すのだろうか。

代表的な表現を整理すると次のようになる。

日本語のイメージ英語コアイメージ
同じsame比較したものに違いがない
まったく同一identicalあらゆる点で同じ
等しいequal数量・価値・程度などが等しい
似ているsimilar共通点が多い
似ている・同じようであるalike二つ以上が互いに似ている
一致するmatch対応するものが合う
共通のcommon複数に共有されている

ただし、この表は「同じ=same」「同一=identical」のような固定的な翻訳表ではない。

日本語と英語では言葉が区切っている範囲が異なる。

重要なのは、日本語訳を暗記することではなく、何がどのように同じなのかを見ることである。

same|比較して違いがない

same は、「同じ」を表す最も基本的な英語である。

コアイメージは、比較した二つ以上のものについて、問題となる違いがないことである。

We have the same bag.
私たちは同じバッグを持っている。

この場合、二人で一個のバッグを所有しているとは限らない。同じ種類・デザインのバッグをそれぞれ持っている可能性がある。

We went to the same school.
私たちは同じ学校に通っていた。

こちらは「学校という対象が同一」である。

same は文脈によって、「同じ種類」から「同一のもの」までかなり広く使える。

この幅広さは、日本語の「同じ」とよく似ている。

identical|区別できないほど同じ

identical は、same よりも強い一致を表す。

コアイメージは、比較対象があらゆる重要な点で一致していることである。

The two pictures look identical.
その二枚の写真はまったく同じに見える。

same なら単に「同じ」と言えるが、identical では「違いが見つからないほど同じ」という意味が強くなる。

Their answers were identical.
彼らの答えはまったく同じだった。

identical は、日本語の「同一」「全く同じ」「そっくり同じ」などに近づくことがある。

ただし、文脈によっては identical が必ず「同一物」を意味するわけではない。別々の二つの物でも、特徴が完全に一致していれば identical と表現できる。

equal|量・価値・程度が等しい

equal のコアイメージは、比較できる値や水準に差がないことである。

The two boxes are equal in weight.
二つの箱は重さが等しい。

箱そのものが同じなのではない。

「重さ」という一つの尺度で同じなのである。

Everyone should have an equal chance.
誰もが平等な機会を持つべきである。

ここでは「機会の程度・扱いに差がない」という意味になる。

same が対象全体の「同じ」に広く使えるのに対し、equal は数量・価値・権利・程度などの比較可能な尺度と結びつきやすい。

similar|違うものの中に共通点がある

similar は「同じ」ではなく、基本的には「似ている」である。

しかし、「同じ」の境界を理解するうえで非常に重要な単語である。

コアイメージは、別のものだが重要な特徴を共有していることである。

These two designs are similar.
この二つのデザインは似ている。

same とすると「同じデザイン」という意味になる。

similar なら、色・形・雰囲気などは近いが、違いも存在する。

We had similar experiences.
私たちは似たような経験をした。

完全に同じ経験ではない。内容に共通点があるのである。

alike|二つのものが互いに似ている

alike も「似ている」という概念を表す。

similar と意味は近いが、使い方に違いがある。

The two sisters look alike.
その姉妹はよく似ている。

alike は「AとBが互いに似ている」という関係を表しやすい。

一方、

The two sisters have similar voices.
その姉妹は似た声をしている。

のように similar は名詞の前でも使える。

same → 違いがない
similar / alike → 違いはあるが似ている

という大きな境界をまず理解すると分かりやすい。

match|二つのものが合う・一致する

日本語の「一致する」に近い世界では match が重要になる。

コアイメージは、二つ以上のものを対応させたときに合うことである。

The numbers match.
数字が一致している。

Your story matches his story.
あなたの話は彼の話と一致している。

さらに、

Your shoes match your jacket.
靴がジャケットに合っている。

のように、完全に同じではなく「調和している」という方向にも広がる。

これは日本語の「同じ」と英語の match が一対一では対応しない好例である。

common|複数のものに共通している

「全部が同じ」ではなく、「一部が同じ」という概念では common が重要である。

We have a lot in common.
私たちには共通点がたくさんある。

They share a common goal.
彼らは共通の目標を持っている。

二人そのものが同じなのではない。

二人の中に「同じ部分」が存在しているのである。

日本語の「共通する」という概念から英語を見ると、same とは異なる common の位置が理解しやすくなる。

「同じ」に近い英語を一致の強さで見る

「同じ」の周辺語は、完全一致から類似までの連続した世界として見ることもできる。

一致のイメージ英語例
完全に同じidenticalidentical copies
同じsamethe same idea
値が等しいequalequal amounts
対応して一致するmatchThe results match.
共通部分があるcommona common feature
似ているsimilarsimilar ideas
互いに似ているalikeThey look alike.

ただし、これは単純な「強い→弱い」の一本線ではない。

equal は数量・程度、match は対応関係、common は共有部分というように、そもそも見ている軸が違うからである。

「同じ」の概念地図

「同じ」の世界を概念として整理すると、次のようになる。

同じ
│
├─ そのものが同じ
│   └─ 同一
│       └─ same / identical
│
├─ 種類・特徴が同じ
│   └─ 同じ・同様
│       └─ same / similar
│
├─ 数量・程度が同じ
│   └─ 等しい・同等
│       └─ equal
│
├─ 比較すると合う
│   └─ 一致する
│       └─ match
│
├─ 一部が同じ
│   └─ 共通する
│       └─ common
│
└─ 完全には同じではない
    └─ 似ている・そっくり
        └─ similar / alike

「同じ」という一つの日本語から英語を直接探すのではなく、

何が同じなのか?

どの程度同じなのか?

全部が同じなのか、一部が同じなのか?

と考えることで、英語の区別が見えてくる。

まとめ|「何がどのように同じなのか」を考える

「同じ」は単純そうに見えて、非常に広い概念を持つ言葉である。

考え方日本語主な英語
広く「同じ」同じsame
完全に一致同一・全く同じidentical
数量・程度が等しい等しい・同等equal
比較して合う一致するmatch
一部を共有する共通するcommon
特徴が近い似ている・類似するsimilar
互いによく似ている似ている・そっくりalike

日本語では、これらの多くを「同じ」という一語で表現できる。

「同じ人」「同じ服」「同じ値段」「同じ意見」「同じくらい」「同じような形」では、「同じ」が指しているものが少しずつ違う。

英語を考えるときも、最初から「同じ=same」と置き換える必要はない。

まず日本語の中で、

存在が同じのか。
特徴が同じのか。
数量が等しいのか。
比較した結果が一致するのか。
一部だけが共通するのか。
完全には同じではなく似ているのか。

を考える。

その概念の違いが見えれば、same、identical、equal、match、common、similar、alike という英語も、ばらばらの暗記ではなく「同じ」という一つの概念世界の中で理解できるようになる。

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