「働く」を表す言葉|勤める・働きかける・機能するからwork・serve・functionまで

「働く」を表す言葉

「働く」は、日常生活でも非常によく使われる言葉である。

「会社で働く」
「朝から晩まで働く」
「銀行に勤める」
「人のために働く」
「薬が働く」
「ブレーキが働く」
「相手に働きかける」

これらにはすべて「働く」という感覚がある。しかし、同じ種類の「働く」ではない。

人が仕事をすることもあれば、組織に所属して仕事をすることもある。人や社会のために役割を果たすこともあれば、機械や身体の仕組みが機能することもある。

英語でも、この広い「働く」の世界を一つの単語だけで表すわけではない。workを中心として、serve、function、operate、actなどへ概念が枝分かれしている。

では、そもそも「働く」とはどのような概念なのだろうか。

まず英語に置き換えるのではなく、日本語の「働く」の世界から整理してみよう。

「働く」と「はたらく」|漢字とひらがなの違い

「はたらく」は通常「働く」と書く。

「見る/観る/診る」のように、漢字によって明確に意味を使い分ける言葉ではない。そのため、「働く」について漢字違いを細かく分類する必要はない。

ただし、「働く」という一つの表記の中にかなり広い意味が含まれている。

表記中心となる概念使用例
働く人が仕事をする会社で働く
働く力・作用が生じる重力が働く
働く機能する安全装置が働く
働く考えや能力を使う頭を働かせる
働きかける相手に作用を及ぼす政府に働きかける

つまり「働く」の中心には、単なる「仕事」より広い概念がある。

何かが活動し、その力や役割を発揮する

という感覚で考えると、「人が働く」と「機械が働く」が同じ言葉で表される理由も見えやすくなる。

「働く」に関係する日本語

「働く」の周辺には、仕事、役割、作用、機能などに関係するさまざまな表現がある。

日本語どのような「働く」なのか
働く仕事をする、力や機能を発揮する
仕事をする具体的な仕事・作業を行う
勤める組織に所属して仕事をする
勤務する職場で職務に就く
労働する労働力を使って仕事をする
稼ぐ働くなどして収入・利益を得る
就職する職業に就く
就労する仕事に就いて働く
仕える人や組織のために役割を果たす
奉仕する他者や社会のために働く
活躍する能力を発揮して成果を上げる
機能する本来の役割を果たす
作動する機械や装置が動く
作用する力・物質などが影響を与える
効く薬・方法などが効果を発揮する
働きかける相手に影響を与えようとする
頭を働かせる思考能力を積極的に使う

この一覧を見るだけでも、「働く」は「仕事をする」だけの言葉ではないことが分かる。

「働く」の概念はどこへ枝分かれするのか

「働く」の世界は、大きくいくつかの方向へ分けられる。

概念の軸表現注目するポイント
仕事働く・仕事をする仕事という活動を行う
所属働く・勤める・勤務するどこで仕事をしているか
労働働く・労働する労働そのものに注目する
収入働く・稼ぐお金を得ることに注目する
社会的役割仕える・奉仕する誰かのために役割を果たす
能力発揮活躍する成果や能力に注目する
機能働く・機能する本来の役割を果たす
機械働く・作動する装置などが動く
作用働く・作用する力や物質が影響を及ぼす
効果働く・効く期待した効果が現れる
影響働きかける他者へ影響を与える

重要なのは、「働く=職業」という発想からいったん離れることである。

「働く」の根底には、

活動する → 力を出す → 役割を果たす → 何らかの結果を生む

という概念の広がりがある。

「働く」と「仕事をする」|活動全体か、仕事という行為か

「働く」と「仕事をする」は、多くの場面で近い意味になる。

「今日は一日働いた」
「今日は一日仕事をした」

どちらも自然である。

ただし、「働く」のほうが概念は広い。

たとえば、

「薬が働く」
「重力が働く」
「安全装置が働く」

とは言えるが、

「薬が仕事をする」
「重力が仕事をする」

とすると、通常の日本語では比喩的な表現になる。

「仕事をする」は具体的な仕事・作業に焦点を当てやすい。一方、「働く」は何かが活動して力や役割を発揮すること全体まで表せる言葉なのである。

「働く」と「勤める」|仕事をするか、組織に所属するか

「働く」と「勤める」は、職業について話すときによく重なる。

「病院で働いている」
「病院に勤めている」

どちらも自然である。

しかし、焦点が違う。

「働く」は仕事をしていることに焦点がある。

「勤める」は会社・病院・学校などの組織に所属して仕事をしていることに焦点がある。

そのため、

「自宅でフリーランスとして働いている」

は自然だが、「自宅に勤めている」とは普通言わない。

「どんな活動をしているか」が働く、「どこに所属しているか」が勤める、と考えると分かりやすい。

「勤める」と「勤務する」|所属か、職務に就くことか

「勤める」と「勤務する」も近い。

「病院に勤めている」
「病院に勤務している」

どちらも使える。

ただし、「勤務する」はやや硬く、職務・勤務場所・勤務時間などを客観的に表す場面で使われやすい。

「東京支店に勤務する」
「夜間に勤務する」
「週5日勤務する」

のような使い方である。

「勤める」は日常的な所属の感覚、「勤務する」は職務上の勤務という感覚が強い。

「働く」と「労働する」|日常的な活動か、労働という概念か

「労働する」は「働く」より硬い言葉である。

日常会話なら、

「今日は8時間働いた」

が自然であり、

「今日は8時間労働した」

は労働時間そのものを意識した表現になる。

「労働」は、人が身体や頭を使って仕事をすることを社会的・経済的な概念として捉えるときによく使われる。

そのため、「労働時間」「労働条件」「労働者」のような言葉にもつながる。

「働く」と「稼ぐ」|仕事をするか、収入を得るか

「働く」と「稼ぐ」は同じではない。

「働く」は活動そのものを表す。

「稼ぐ」は、その活動によってお金や利益などを得ることに焦点がある。

「毎日一生懸命働いている」
「毎月30万円稼いでいる」

では見ているものが違う。

たくさん働いても、必ずしもたくさん稼ぐとは限らない。

逆に、「時間を稼ぐ」「ポイントを稼ぐ」のように、「稼ぐ」は仕事以外にも広がる。

「働く」と「活躍する」|活動するか、能力を発揮するか

「活躍する」は単に働いているだけではない。

「海外で働いている」は、その場所で仕事をしているという事実を表す。

「海外で活躍している」と言えば、そこで能力を発揮し、一定の成果を上げているというニュアンスが加わる。

つまり、

働く → 活動して仕事をする

活躍する → 能力を発揮して目立った成果を上げる

という違いがある。

「働く」と「仕える・奉仕する」|自分の仕事か、誰かのための役割か

「仕える」「奉仕する」では、「誰のために働くのか」という方向性が強くなる。

「王に仕える」であれば、王のもとで役割を果たす。

「地域社会に奉仕する」であれば、社会や他者のために力を使う。

単なる仕事としての「働く」よりも、人・組織・社会に対して役割を果たすという関係性が前面に出る。

「働く」と「機能する」|人の仕事から役割の発揮へ

「働く」の重要な広がりが「機能する」である。

「この安全装置が働く」
「この安全装置が機能する」

どちらも使える。

ここでは人が仕事をしているわけではない。

装置が本来持っている役割を果たしている。

この用法を見ると、「働く」の中心が単なる「仕事」ではなく、持っている力・能力・役割を実際に発揮することにもあると分かる。

「働く」と「作動する」|役割を果たすか、機械が動くか

「作動する」は機械・装置・システムなどに使われる。

「センサーが作動した」
「警報装置が作動した」

という使い方である。

「働く」はもっと広い。

「本能が働く」
「理性が働く」
「重力が働く」

とも言える。

そのため、「作動する」は「働く」の中でも特に機械や仕組みが動作を始めることに焦点を当てた表現と考えられる。

「働く」と「作用する」|活動するか、何かに影響を及ぼすか

「力が働く」と「力が作用する」は非常に近い。

「作用する」は、あるものが別のものに影響を及ぼすことを明確に表す。

「物体に重力が作用する」
「薬が神経に作用する」

などである。

ここでは「働く」の概念が、

活動する

から

力を及ぼす

へ広がっている。

「働く」と「効く」|力が作用するか、効果が現れるか

薬について、

「薬が働く」
「薬が効く」

の両方を使うことがある。

ただし、「効く」は結果に焦点がある。

「薬が体内で働く」であれば、薬が何らかの作用をしていることを表す。

「薬が効く」であれば、その作用によって期待した効果が現れることに焦点が移る。

つまり、

働く → 作用・活動

効く → 効果・結果

という違いがある。

「働く」と「働きかける」|自分が活動するか、相手を動かそうとするか

「働きかける」では、「働く」の力が外側へ向かう。

「政府に働きかける」
「本人に参加を働きかける」

などである。

単に自分が活動するのではなく、相手に影響を与え、考えや行動を変えようとする。

「働く」が自分自身の活動なら、「働きかける」はその力を相手へ及ぼすことと捉えられる。

ここまでの日本語を概念で整理すると

日本語の「働く」の世界を整理すると、次のようになる。

概念日本語表現
仕事という活動働く・仕事をする
組織への所属勤める
職務上の勤務勤務する
労働そのもの労働する
職業に就く就職する・就労する
収入を得る稼ぐ
能力を発揮する活躍する
人のために役割を果たす仕える・奉仕する
本来の役割を果たす機能する
機械が動く作動する
力や物質が影響する作用する
効果が現れる効く
相手へ影響を与える働きかける
思考能力を使う頭を働かせる

こうして見ると、「働く」は人間の仕事から機械、力、薬、思考まで広がる非常に大きな概念である。

英語では「働く」をどう表すのか?

では、英語ではこの「働く」の世界をどう表すのだろうか。

中心になるのは work である。

しかし、日本語の「働く」に関係するすべての場面をworkだけで表すわけではない。

日本語のイメージ英語コアイメージ
働く・仕事をするwork仕事・活動を行う
組織で働くwork for / work at人・組織・場所との関係
人や組織に仕えるserve相手のために役割を果たす
機能するwork / function本来の役割を果たす
機械を動かす・操作するoperate機械・システムを動かす
作用するact / work何かに作用を及ぼす
効くwork期待した効果を出す
稼ぐearn / makeお金などを得る
働きかけるinfluence / urge / lobbyなど相手に影響を及ぼす

この表は「日本語=英語」の一対一対応表ではない。

たとえばwork一語でも、「仕事をする」「機能する」「効く」など複数の日本語に広がる。

反対に、日本語の「働く」も、場面によってwork、serve、function、operateなどに分かれる。

大切なのは訳語ではなく、何が、どのように働いているのかを見ることである。

work|活動して結果を生み出す

workは「働く」の中心となる英語である。

コアイメージは、活動して、役割や結果を生み出すと捉えると分かりやすい。

人なら「仕事をする」になる。

I work at a hospital.
私は病院で働いている。

会社との関係なら次のようにも言える。

She works for an IT company.
彼女はIT企業で働いている。

一方、workの主語は人だけではない。

This machine doesn’t work.
この機械は動かない。

さらに薬にも使える。

This medicine works well for me.
この薬は私にはよく効く。

「働く」「動く」「機能する」「効く」と日本語訳は変わっているが、英語では「ちゃんと働いて期待される結果を出す」というworkの感覚でつながっている。

serve|誰かのために役割を果たす

serveは単なる「働く」ではなく、誰か・何かのために役割を果たすことに焦点がある。

He served his country for many years.
彼は長年、国のために尽くした。

仕事についても使える。

She served as a teacher for ten years.
彼女は10年間、教師として務めた。

serve as ~では、「~として機能する・役割を果たす」という意味にも広がる。

This room serves as an office.
この部屋は事務所として使われている。

workが活動そのものを広く表すのに対して、serveは誰か・何かに対する役割が意識される言葉である。

function|本来の機能を果たす

functionは「機能する」を表す代表的な言葉である。

人が仕事をするというより、物・器官・制度・仕組みなどが本来の役割を果たすことに焦点がある。

The system is functioning normally.
システムは正常に機能している。

身体についても使える。

The heart is functioning normally.
心臓は正常に機能している。

workでも、

The system works.

と言える。

ただしworkは「ちゃんと動く・使える」という日常的で広い表現である。

functionは「本来持つ機能を果たしている」という意味がより明確になる。

operate|機械やシステムを動かす

operateは機械やシステムの「働く」に関係する言葉である。

ただし、workとは視点が違う。

This machine operates automatically.
この機械は自動で作動する。

また、人を主語にすると「操作する」になる。

She operates the machine.
彼女がその機械を操作する。

workが「ちゃんと機能しているか」に注目しやすいのに対し、operateは機械やシステムがどのように動作するか、またはそれを動かすことに焦点がある。

act|力や物質が作用する

「働く」が「作用する」という意味になる場合、英語ではactが使われることがある。

The drug acts on the nervous system.
その薬は神経系に作用する。

ここでのactは「行動する」という一般的な意味から、何かに対して作用を及ぼすという方向へ広がっている。

workが「結果を出す」という感覚を持つのに対して、actは「何かに作用する」という関係を表しやすい。

「勤める」は英語でどう表すのか?

日本語では「働く」と「勤める」を言い分けるが、英語では必ずしも別の動詞になるわけではない。

workに前置詞を組み合わせることで関係を表すことが多い。

表現主なイメージ
work at ~場所・職場で働く
work for ~会社・人などのために働く
work in ~分野・業界・場所の中で働く
work as ~~という職業・役割で働く

たとえば、

I work at a pharmacy.
私は薬局で働いている。

I work for a pharmaceutical company.
私は製薬会社に勤めている。

I work in healthcare.
私は医療分野で働いている。

I work as a pharmacist.
私は薬剤師として働いている。

となる。

日本語では「働く」「勤める」という動詞そのものを変えるところを、英語ではworkの後ろの形によって関係を表すことがあるのである。

「稼ぐ」はearn・makeへ広がる

「働く」の目的として収入に注目すると、workからearnやmakeへ概念が移る。

He works hard.
彼は一生懸命働いている。

これは活動に注目している。

He earns a good salary.
彼は良い給料を得ている。

こちらは得られる収入に注目している。

口語ではmakeも使われる。

She makes enough money to live on.
彼女は生活するのに十分なお金を稼いでいる。

つまり、

work → 活動

earn / make → 活動によって得るもの

という視点の違いがある。

「働きかける」は一つの英単語にはならない

日本語の「働きかける」は、英語では目的によって表現が変わる。

どのような働きかけか英語表現の例
影響を与えるinfluence
強く促すurge
説得するpersuade
政治的に働きかけるlobby
行動を促すencourage

たとえば、

They urged the government to take action.
彼らは政府に行動するよう強く働きかけた。

政治的な働きかけなら、

They lobbied the government for change.
彼らは変革を求めて政府に働きかけた。

となる。

日本語では「働きかける」という広い言葉でまとめられるが、英語ではどのような方法で相手を動かそうとしているのかによって言葉が変わる。

人以外が「働く」ときの英語

「働く」の面白さは、人以外にも使えることである。

英語でも同じ概念がさまざまな方向へ広がる。

日本語英語の例
機械が働くThe machine works.
システムが機能するThe system functions properly.
装置が作動するThe device operates automatically.
薬が効くThe medicine works.
薬が作用するThe drug acts on the brain.
計画がうまくいくThe plan works.

特にworkの広さに注目したい。

「人が働く」
「機械が動く」
「薬が効く」
「方法がうまくいく」

という日本語ではかなり違って見える表現が、英語ではworkという一つの概念でつながっている。

共通しているのは、何かが働いて、期待される結果を生み出すという感覚である。

「働く」の概念地図

「働く」の世界を概念でつなぐと、次のようになる。

働く
│
├─ 人が活動する
│   ├─ 仕事をする → work
│   ├─ 組織に勤める → work at / work for
│   ├─ ~として働く → work as
│   └─ 労働する → work / labor
│
├─ 活動から何かを得る
│   └─ 稼ぐ → earn / make
│
├─ 誰かのために役割を果たす
│   ├─ 仕える
│   └─ 奉仕する → serve
│
├─ 持っている役割を果たす
│   ├─ 機能する → work / function
│   └─ 作動する → operate
│
├─ 力を外へ及ぼす
│   ├─ 作用する → act / work
│   └─ 効く → work
│
└─ 相手を動かそうとする
    └─ 働きかける
        ├─ influence
        ├─ urge
        ├─ persuade
        └─ lobby

こうして見ると、「働く」という日本語から英語へ向かうときに、いきなりworkを覚える必要はない。

まず、

人が仕事をしているのか
組織に所属しているのか
誰かのために役割を果たしているのか
機械が機能しているのか
物質が作用しているのか
結果として効果が出ているのか

を考える。

その概念が見えれば、英語の選択肢も自然に絞られてくる。

まとめ|「何がどのように働くのか」を考える

「働く」は「仕事をする」だけを表す言葉ではない。

人が働くところから始まり、組織への所属、収入、役割、機能、作用、効果、影響まで大きく広がっている。

概念日本語英語の代表例
仕事をする働くwork
組織に所属する勤めるwork at / work for
職務に就く勤務するwork
労働する労働するwork / labor
収入を得る稼ぐearn / make
役割を果たす仕える・奉仕するserve
本来の機能を果たす機能するfunction / work
機械が動く作動するoperate / work
影響を及ぼす作用するact / work
効果を発揮する効くwork
相手に影響する働きかけるinfluence / urge / persuade / lobby

日本語の「働く」を見て、すぐに work と置き換えるのではない。

「仕事をする」のか。
「勤める」のか。
「稼ぐ」のか。
「役割を果たす」のか。
「機能する」のか。
「作用する」のか。
「効く」のか。

まず日本語の中で「どのような働くなのか」を考える。

日本語 → 概念 → 英語

という順番でたどれば、work、serve、function、operate、actなども、ばらばらの英単語ではなく、「働く」という一つの概念世界の中で理解できるようになる。

「働く」は、人の仕事 → 所属 → 役割 → 機能 → 作用 → 効果まで広がるため、ピラーページとの相性がかなり良いテーマである。特に今後は「働くと勤める」「働くと稼ぐ」「機能すると作動する」「作用すると効く」などを個別記事として差し込める構造にしてある。

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