「お金」を表す言葉|現金・収入・財産からmoney・cash・incomeまで

「お金」を表す言葉

「お金」は、日常生活で非常によく使う言葉である。

「お金を持っている」「お金を稼ぐ」「お金を払う」「お金がかかる」「お金を貯める」のように、私たちはさまざまなものをまとめて「お金」と呼んでいる。

しかし、少し細かく見ると、その中には異なる概念が含まれている。

たとえば「現金」は手元にある紙幣や硬貨を指す。「収入」は入ってくるお金であり、「財産」はその人が所有している価値あるもの全体である。「資金」は何かをするために用意されたお金である。

つまり、

お金 → 現金・収入・財産・資金・料金・利益……

というように、「お金」を中心として多くの概念が広がっているのである。

英語でも同じである。日本語の「お金」を何でも money に置き換えればよいわけではない。money / cash / income / funds / wealth など、何を「お金」として見ているのかによって表現が変わる。

では、そもそも「お金」とはどのような概念なのだろうか。

「お金」と「金」|同じものを指している?

「お金」には、「見る・観る」のような明確な漢字の使い分けはない。ただし、「お金」と「金(かね)」には使われ方の違いがある。

表記中心となる概念使用例
お金金銭を表す一般的で中立的な表現お金を払う
金(かね)金銭。くだけた言い方にもなる金がない
金銭お金をやや形式的に表す金銭を受け取る
貨幣交換手段としてのお金貨幣の歴史

「お金」は日常的で幅広い表現である。

「金」は同じ意味でも使えるが、「金が欲しい」「金を稼ぐ」のように言うと、「お金」より直接的で、ときに荒っぽい響きを持つ。

一方、「金銭」は法律や契約などでも使われる硬い言葉である。「貨幣」は日常的な財布の中身というより、経済の仕組みとしてのお金を表すことが多い。

「お金」に関係する日本語

「お金」の周辺には、何を基準に見るかによって多くの言葉が存在する。

日本語どのようなお金なのか
お金金銭全般を広く表す
現金紙幣や硬貨など、すぐ支払いに使える形のお金
貨幣交換手段として社会で使われるお金
通貨国・地域などで流通するお金の体系
収入自分のところへ入ってくるお金
給料労働の対価として受け取るお金
賃金労働に対して支払われるお金
売上商品・サービスを売って得た金額
利益収入・売上などから費用を差し引いて残るもの
財産所有している価値あるもの
資産経済的価値を持つもの
富多くの財産や経済的価値
資金特定の目的に使うためのお金
費用何かをするために必要なお金
料金サービスなどに対して支払うお金
代金商品などの対価として支払うお金
借金借りていて返す必要があるお金
貯金貯めているお金
予算使える金額としてあらかじめ決めたもの

こうして見ると、「お金」は一つの物体だけを指す言葉ではない。

入ってくるお金、持っているお金、使うお金、目的のためのお金、支払うお金など、さまざまな方向へ概念が枝分かれしている。

「お金」の概念はどこへ枝分かれするのか

「お金」の世界は、まず「どの立場からお金を見ているのか」で整理すると分かりやすい。

見る方向主な日本語注目していること
お金そのものお金・現金・貨幣・通貨何をお金として使うか
入ってくる収入・給料・賃金・売上どこから得るか
手元に持つ貯金・財産・資産・富どれだけ保有しているか
目的に使う資金・予算何に使うためのお金か
出ていく費用・料金・代金何に対して支払うか
差し引いて残る利益得た額と使った額の差
他人から借りる借金返済義務のあるお金

この分類が重要である。

日本語ではすべて「お金」と言えてしまう場面でも、概念として見ると同じものではない。

「お金」と「現金」|広い概念か、実際に使える形か

「お金」は広い概念である。

銀行口座に100万円入っている人は、財布に現金がほとんどなくても「お金を持っている」と言える。

一方、「現金」はより具体的である。

「現金で払う」と言えば、一般には紙幣や硬貨による支払いを意味する。クレジットカードなどによる支払いとは区別される。

つまり、

お金 > 現金

という関係で考えると分かりやすい。

「お金」は価値を交換するためのもの全般、「現金」はその中でも直接支払いに使える具体的な形に焦点を当てた言葉である。

「お金」と「収入」|持っているものか、入ってくるものか

「収入」は「お金」の量そのものではなく、一定期間に入ってくるお金という流れを表す。

たとえば、

「収入が月30万円ある」

という場合、その30万円をずっと持っているという意味ではない。毎月入ってくる金額を表している。

「お金を持っている」が現在の保有状態に注目するのに対し、「収入がある」はお金が入ってくる流れに注目している。

さらに「給料」「賃金」「売上」などへ細分化できる。

「収入」と「給料」|入ってくるお金全体か、仕事から得るお金か

「収入」は広い言葉である。

会社から受け取る給料だけでなく、副業による収入、家賃収入、投資による収入なども「収入」に含められる。

一方、「給料」は主に仕事をした対価として勤務先から受け取るお金である。

したがって、

収入 > 給料

という関係になる場合が多い。

「給料は30万円だが、副業を含めると収入は40万円ある」のような言い方が可能である。

「お金」と「資金」|何かをするためのお金

「資金」には目的のために用意されているお金という視点がある。

たとえば、

  • 事業を始めるための資金
  • 研究資金
  • 運転資金
  • 住宅購入の資金

などである。

単に「お金がある」では、その用途は分からない。

「資金がある」と言えば、何らかの活動や目的に使うためのお金という意味が強くなる。

「資金」と「予算」|使うためのお金か、使える範囲か

「資金」と「予算」も似ているが、視点が異なる。

「資金」は、実際に何かを行うために必要・利用できるお金に注目する。

「予算」は、どれくらい使うか、あるいは使えるかをあらかじめ決めた金額に注目する。

「旅行資金を貯める」は旅行に使うお金を準備すること。

「旅行の予算は10万円である」は、旅行に使う金額の枠を10万円と設定することである。

「お金」と「財産」|金銭だけか、価値あるもの全体か

「財産」は現金だけではない。

土地、建物、株式なども財産になり得る。

そのため、

財産 > 現金

と考えることができる。

「お金持ち」という日常語では現金だけでなく、さまざまな財産を持つ人を指すことも多い。

「お金」という日常語から「財産」へ進むと、概念が「交換に使うもの」から「価値を所有している状態」へ広がっていくのである。

「財産」と「資産」|所有する価値か、経済的価値として見るか

「財産」と「資産」は重なる部分が大きい。

「財産」は日常語として、ある人が持っている価値あるものを広く指せる。

「資産」は、それらを経済的価値を持つものとして捉える意味が強い。会計や金融でもよく使われる。

たとえば「祖父が残した財産」は自然である。

一方、「会社の資産を確認する」のように、経済的価値を整理して見る場合には「資産」が使いやすい。

「費用」と「料金」と「代金」|出ていくお金にも違いがある

何かに「お金がかかる」ときも、そのお金の性質によって言葉が変わる。

「費用」は何かを行うために必要になるお金を広く表す。

「料金」はサービスや利用などに対して設定された金額として使われやすい。「入場料金」「電気料金」などである。

「代金」は商品などを受け取る対価として支払うお金を表す。「商品の代金を払う」などである。

同じ「払うお金」でも、何に対して払うのかによって概念が異なる。

「売上」と「利益」|入ってきた金額か、残った金額か

「売上」と「利益」は特に混同しやすい。

商品を100万円分売ったとしても、100万円すべてが利益になるわけではない。

商品を仕入れたり、店を運営したりするためにお金がかかる。

単純化すれば、

売上 − 費用 → 利益

という関係である。

つまり「売上」は販売によって得た金額に注目し、「利益」はそこから費用などを差し引いた結果に注目する。

ここまでの日本語を概念で整理すると

概念日本語表現
金銭全般お金・金・金銭
交換の仕組み貨幣・通貨
手元で使える形現金
入ってくるお金収入
働いて得るお金給料・賃金
商売で入る金額売上
差し引いて残るもの利益
目的のために使う資金
使える金額を決める予算
支出するお金費用・料金・代金
貯めているお金貯金
所有する価値財産・資産
多くの財産富
借りているお金借金

日本語だけでも、すでにこれだけ多くの概念が存在する。

ここから英語を見ると、「なぜmoney以外の単語が必要なのか」が分かりやすくなる。

英語では「お金」をどう表すのか?

英語の中心にあるのは money である。

しかし、日本語で「現金」「収入」「資金」「財産」と分けたように、英語にもそれぞれに近い概念を表す言葉がある。

日本語のイメージ英語コアイメージ
お金全般money支払いや交換に使える価値
現金cashすぐ支払いに使えるお金
収入income入ってくるお金
資金funds目的に使えるお金
富wealth蓄積された豊かな財産
資産assets経済的価値を持つもの
給料salary / wages労働の対価
売上sales / revenue商売などから入る金額
利益profit費用などを引いて残る利益
費用cost / expense何かに必要・使用する金額
予算budget使える金額として設定した枠
借金debt返す義務のあるお金

ここで注意したいのは、この表が「日本語=英語」の一対一対応表ではないことである。

たとえば「資金」が常に funds になるわけではない。「費用」も文脈によって cost と expense などを使い分ける。

重要なのは日本語訳を暗記することではなく、何をお金として見ているのかを考えることである。

money|お金という最も広い概念

money のコアイメージは、物やサービスとの交換、支払い、貯蓄などに使える価値である。

日本語の「お金」に最も近い中心語である。

I need some money.
お金が少し必要だ。

She saved enough money to buy a car.
彼女は車を買えるだけのお金を貯めた。

moneyは「収入」「現金」「資金」などを細かく区別せず、お金そのものについて話すときに使える。

ただし、「現金で払う」のように形を区別したいなら cash のほうが適切になる。

また、moneyは通常、不可算名詞として扱う。

cash|すぐに支払いに使えるお金

cash のコアイメージは、すぐ支払いに使える形のお金である。

典型的には紙幣や硬貨を指す。

Do you have any cash?
現金を持っている?

I paid in cash.
私は現金で支払った。

たとえば銀行口座に多くのお金があっても、財布に現金がなければ、

I don’t have any cash.

と言える。

つまり、

money=お金という広い概念
cash=その中でも現金として使えるもの

という違いがある。

income|入ってくるお金

income のコアイメージは、一定期間に入ってくるお金である。

His income has increased.
彼の収入は増えた。

She has a steady income.
彼女には安定した収入がある。

moneyが「お金そのもの」を見るのに対して、incomeはお金の流れを見る。

また、incomeはsalaryと同じではない。

salaryは仕事から受け取る給与を指すのに対し、incomeには給与以外から得るお金も含められる。

funds|目的のために使えるお金

funds は、ある目的のために利用できるお金というイメージを持つ。

We need more funds for the project.
そのプロジェクトにはさらに資金が必要だ。

The school raised funds for a new library.
その学校は新しい図書館のための資金を集めた。

単に「お金が必要だ」ならmoneyでもよい。

しかし、事業・研究・活動などに使う資金という視点を出したい場合、fundsが使いやすい。

日本語の「資金」という概念に近い部分である。

wealth|蓄積された富

wealth のコアイメージは、蓄積された多くの価値・財産である。

He gained great wealth.
彼は大きな富を得た。

The country has enormous natural wealth.
その国には莫大な天然資源という富がある。

moneyが日常的な「お金」なのに対し、wealthは単に財布に入っている金額を指す言葉ではない。

現金、不動産、資産などを含む「豊かさ」「富」の方向へ概念が広がっている。

お金が「入る・出る・残る」で英語を整理する

お金に関する英語は、「お金」という物だけを見るより、お金がどう動くかを見ると理解しやすい。

お金の動き日本語主な英語
働いて得る給料・賃金salary / wages
広く入ってくる収入income
商売から入る売上・収益sales / revenue
使う費用cost / expense
支払う支払いpayment
残る利益profit
貯める貯金・貯蓄savings
借りる借金debt
投じる投資investment

ここでも「日本語の単語に対応する英単語を一つ覚える」というより、

お金がどこから来て、どこへ行き、何として残るのか

を見ることが重要である。

salary・wages|働いて受け取るお金

日本語の「給料」に関係する代表的な表現が salary と wages である。

salaryは月給・年俸のように、一定期間を基準として決められた給与を表すことが多い。

She earns a good salary.
彼女はよい給料を得ている。

wagesは時間や労働量に基づいて支払われる賃金という意味で使われやすい。

The company raised workers’ wages.
その会社は労働者の賃金を引き上げた。

どちらも「働いて得るお金」であるが、支払いの仕組みを見ると違いが見えてくる。

revenue・profit|入ってくるお金と残るお金

企業や商売のお金を考えるときに重要なのが revenue と profit である。

revenueは事業活動などから得る収益を表す。

profitは、そこから必要な費用などを差し引いて残る利益である。

The company increased its revenue.
その会社は収益を増やした。

The company made a large profit last year.
その会社は昨年、大きな利益を上げた。

この違いは、日本語の「売上・収益」と「利益」の違いを考えると理解しやすい。

入ってきた金額を見るのか、差し引いたあとに残るものを見るのかという違いである。

cost・expense|出ていくお金を見る

cost と expense は、どちらも日本語では「費用」と訳されることがある。

costは「それを得たり行ったりするのに、どれくらいかかるか」という視点を持つ。

The total cost was $500.
総費用は500ドルだった。

expenseは、実際に使ったお金・支出という視点で使われることが多い。

Travel expenses are very high.
旅費がとても高い。

細かな使い分けは個別に考える必要があるが、どちらもmoneyそのものではなく、お金が出ていく場面を切り取った言葉と考えると分かりやすい。

「お金」の概念地図

「お金」の世界を大きく整理すると、次のようになる。

お金
│
├─ お金そのもの
│   ├─ お金 → money
│   ├─ 現金 → cash
│   └─ 通貨 → currency
│
├─ 入ってくる
│   ├─ 収入 → income
│   ├─ 給料 → salary / wages
│   └─ 売上・収益 → sales / revenue
│
├─ 使う・出ていく
│   ├─ 費用 → cost / expense
│   ├─ 支払い → payment
│   └─ 予算 → budget
│
├─ 目的のために用意する
│   └─ 資金 → funds
│
├─ 差し引いて残る
│   └─ 利益 → profit
│
├─ 持っている・蓄積する
│   ├─ 貯蓄 → savings
│   ├─ 資産 → assets
│   └─ 富 → wealth
│
└─ 借りている
    └─ 借金 → debt

こうして見ると、moneyを中心として無関係な英単語が並んでいるわけではない。

「お金」という大きな概念を、どの方向から見るかによって言葉が枝分かれしているのである。

まとめ|「どのようなお金なのか」を考える

「お金」は非常に広い日本語である。

そのため英語を考えるときも、すぐに「お金=money」と置き換えるのではなく、「今話しているのは、どのようなお金なのか」を考える必要がある。

注目する概念日本語の代表例英語の代表例
お金そのものお金money
現金という形現金cash
入ってくる収入income
働いて得る給料・賃金salary / wages
目的に使う資金funds
使える範囲予算budget
商売から入る売上・収益sales / revenue
差し引いて残る利益profit
出ていく費用cost / expense
蓄積された価値富wealth
経済的価値を持つもの資産assets
返す必要がある借金debt

中心にあるのは「お金」である。

しかし、そこから「現金なのか」「入ってくるお金なのか」「働いて得るお金なのか」「何かに使うためのお金なのか」「蓄積された財産なのか」と考えていくと、概念が枝分かれする。

お金 → 概念を細かく見る → 英語を選ぶ

この順番で考えれば、money、cash、income、funds、wealthなどをばらばらに暗記する必要はない。

「どのようなお金なのか」を考えることによって、その場面で使う英語が見えてくるのである。

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