「決める」を表す言葉|選ぶ・定める・決断するからdecide・choose・determineまで

「決める」を表す言葉

「決める」は、日常生活で非常によく使われる言葉である。

「今日の夕食を決める」
「旅行先を決める」
「どちらを買うか決める」
「ルールを決める」
「日程を決める」
「覚悟を決める」

どれも「決める」だが、実際に行っていることは少しずつ違う。

複数の候補から一つを選んでいる場合もあれば、まだ決まっていない内容を確定している場合もある。迷った末に決断することもあれば、基準やルールを定めることもある。

「選ぶ」「定める」「決断する」「決定する」「確定する」「判断する」など、「決める」の周辺には多くの日本語が存在する。

英語でも同様である。

decide、choose、determine、settleなどは、すべて「決める」と訳されることがある。しかし、それぞれが見ている「決める」の側面は同じではない。

では、そもそも「決める」とはどのような概念なのだろうか。

まず日本語の「決める」の世界を整理し、そこから英語へ進んでいこう。

「決める」と「極める」|同じ「きめる」でも意味は違う

「きめる」には「決める」のほかに「極める」と書く場合がある。

ただし、現代日本語では両者の意味はかなり異なる。

表記中心となる概念使用例
決める不確定なものを確定させる日程を決める
極めるある分野・状態を限界まで進める技を極める

「極める」は「きわめる」と読むのが一般的であり、「きめる」という読みは現代の日常語では限定的である。

そのため、「決める」の概念世界を考えるときは、基本的に「決める」を中心に考えればよい。

むしろ重要なのは漢字違いではなく、「選ぶ」「定める」「決断する」などとの概念の違いである。

「決める」に関係する日本語

「決める」の周辺には、多くの日本語表現がある。

日本語どのような「決める」なのか
決める不確定だったことを確定する
選ぶ複数の候補から一つまたはいくつかを取る
選択する候補から選ぶことを明確に表す
決断する迷いや重要性がある中で決める
決定する内容や方針などを正式に決める
定める基準・規則・位置などを決めて固定する
確定する未確定だったものが最終的に決まる
判断する情報をもとに良し悪しや対応を決める
判定する基準に照らして結果を決める
決心する自分の意思を固める
覚悟を決める結果を受け入れる心構えを固める
方針を決める今後進む方向を決める
取り決める複数の人の間で内容を決める
話し合って決める合意を通して結論を出す
決着をつける続いていた問題を終わらせる
決めつける十分な根拠がないまま結論を固定する

こうして見ると、「決める」とは単に「選択する」ことではない。

選択肢から選ぶ、迷いに終止符を打つ、内容を確定する、基準を定める、意思を固める、合意する

など、さまざまな方向へ概念が広がっている。

「決める」の概念はどこへ枝分かれするのか

「決める」の周辺表現は、「何をどのように決めるのか」という軸で整理すると分かりやすい。

概念の軸表現違い
選択決める / 選ぶ確定することか、候補から取ることか
迷い決める / 決断する普通に決めるか、迷いを断ち切るか
意思決める / 決心する内容を決めるか、自分の心を固めるか
正式性決める / 決定する日常的か、正式な決定か
固定決める / 定める結論を出すか、基準などを設定するか
最終性決める / 確定する決める行為か、変更の余地がなくなることか
評価決める / 判断する結論を出すか、情報から見極めるか
合意決める / 取り決める一人で決めるか、当事者間で決めるか
意志の強さ決める / 覚悟を決める選択するか、結果まで受け入れるか

中心にあるのは、

複数の可能性がある状態を終わらせ、一つの方向へ確定する

という感覚である。

そこから「候補を選ぶ」「意思を固める」「ルールを定める」「最終的に確定する」などへ枝分かれしている。

「決める」と「選ぶ」|確定するか、候補から取るか

「決める」と「選ぶ」は非常に近い。

たとえば、

「旅行先を決める」
「旅行先を選ぶ」

はどちらも自然である。

しかし、見ている部分が違う。

「選ぶ」は、

複数の候補の中から一つまたはいくつかを取る

ことに焦点がある。

「赤、青、白から好きな色を選ぶ」

という場合、候補の存在が重要である。

一方、「決める」は、

まだ確定していない状態を終わらせる

ことに焦点がある。

「旅行の日程を決める」
「集合時間を決める」

では、必ずしも最初から明確な選択肢が並んでいる必要はない。

つまり、

選ぶ → 候補を見る
決める → 未確定な状態を終わらせる

という違いがある。

「決める」と「決断する」|普通に決めるか、迷いを断ち切るか

「決断する」は、「決める」より重い言葉である。

「昼ご飯を何にするか決める」

とは自然に言えるが、

「昼ご飯を何にするか決断する」

では、やや大げさに感じる。

「決断する」は、

迷い・重要性・リスクなどがある中で、一つの方向へ踏み切る

ことを表す。

「会社を辞めることを決断した」
「手術を受けることを決断した」

などである。

「決める」が広い言葉なのに対し、「決断する」には「迷いを断つ」という強さがある。

「決める」と「決心する」|内容を決めるか、自分の意思を固めるか

「決心する」は、自分の心に焦点がある。

「留学することを決心した」
「毎日勉強すると決心した」

この場合、何かの内容を外部的に確定したというより、

自分はこうする、と意思を固めた

のである。

「会議の日程を決心する」とは普通言わない。

日程は「決める」ものであり、自分の行動や生き方について心を固めるのが「決心する」である。

したがって、

決める → 内容を確定する広い表現
決心する → 自分の意思を固める

という違いがある。

「決断する」と「決心する」|選択への決断か、心の決定か

「決断する」と「決心する」はどちらも強い意思を感じさせる。

しかし焦点が少し異なる。

「決断する」は、迷いや選択肢がある状況で結論を出すことに焦点がある。

「転職することを決断した」

なら、転職するかしないかを考えた末に結論を出したイメージである。

「決心する」は、その人自身の意思が固まることに焦点がある。

「もう弱音を吐かないと決心した」

なら、自分の中で意思を固めている。

両者が重なる場面も多いが、

決断 → 選択・結論
決心 → 意志・心

という違いを見ると整理しやすい。

「決める」と「決定する」|日常的な表現か、正式な決定か

「決定する」は「決める」に非常に近い。

「開催日を決める」
「開催日を決定する」

どちらも可能である。

ただし「決定する」は、やや硬く正式な表現である。

「政府は新しい方針を決定した」
「大会の開催地が決定した」

など、組織や公式な場面でもよく使われる。

「決める」は人が行う日常的な行為として自然であり、「決定する」は決定事項そのものに焦点を当てやすい。

「決める」と「定める」|結論を出すか、基準を設定するか

「定める」は、何かを一定の状態に固定する感覚を持つ。

「ルールを定める」
「基準を定める」
「期限を定める」
「目標を定める」

などである。

「今日の昼食を定める」とは普通言わない。

「定める」が得意なのは、

今後の基準・位置・方向などとして固定する

場面である。

「決める」は広いが、「定める」は決めた内容が基準として残る場合に使われやすい。

「決める」と「確定する」|決める行為か、最終状態か

「決める」は行為に焦点がある。

「旅行の日程を決める」

では、人が日程について結論を出している。

一方、

「旅行の日程が確定した」

では、

もう変更されない状態になった

ことに焦点がある。

そのため、

「日程を決めたが、まだ確定ではない」

という表現も可能である。

「決める」と「確定する」は、決定の過程と最終状態という違いで考えると分かりやすい。

「決める」と「判断する」|結論を出すか、情報から見極めるか

「判断する」は、情報や状況をもとに考えて結論を出すことである。

「危険だと判断した」
「今は動かないほうがよいと判断した」

ここでは、複数の候補から何かを選ぶことより、

状況を見て、どう考えるべきかを見極める

ことが中心になる。

その判断の結果として、何かを「決める」こともある。

たとえば、

「雨が強くなると判断し、試合の中止を決めた」

と言える。

つまり、

判断する → 状況を評価して結論を出す
決める → その結論によって方向を確定する

という流れが生まれることがある。

「決める」と「取り決める」|一人で決めるか、当事者間で決めるか

「取り決める」は、複数の人や組織の間で内容を決めることを表す。

「支払い方法を取り決める」
「両社で条件を取り決めた」

中心にあるのは、

関係者同士で話し合い、共通の決まりを作る

という概念である。

単に自分で決めるのとは違い、合意という要素が入る。

そのため「取り決め」は契約やルールにもつながっていく。

「決める」と「覚悟を決める」|選択するか、結果まで受け入れるか

「覚悟を決める」は、単なる選択ではない。

「手術を受ける覚悟を決めた」
「失敗する可能性もあるが、覚悟を決めた」

ここでは、

これから起こる結果や困難まで受け入れる心の準備をする

という意味がある。

「決心する」よりさらに、「その結果を引き受ける」というニュアンスが強くなる場合がある。

「決める」の世界が、選択から心構えへ広がった表現である。

「決める」と「決めつける」|結論を出すか、早く固定しすぎるか

「決めつける」には、多くの場合、否定的なニュアンスがある。

「見た目だけで悪い人だと決めつける」
「最初から無理だと決めつけないほうがいい」

これは単に結論を出すのではない。

十分に確かめないまま、一つの結論に固定する

ことを表している。

「決める」が中立的なのに対し、「決めつける」は判断の仕方に問題があることを示す場合が多い。

ここまでの日本語を概念で整理すると

日本語の「決める」の世界を整理すると、次のようになる。

概念日本語表現
未確定なものを確定する決める
候補から取る選ぶ・選択する
迷いを断ち切って決める決断する
自分の意思を固める決心する
正式に内容を決める決定する
基準・ルールなどを設定する定める
最終的に決まった状態になる確定する
情報から結論を出す判断する
当事者間で決める取り決める
結果まで受け入れる覚悟を決める
根拠が不十分なまま固定する決めつける

「決める」という一つの日本語から、

選択 → 結論 → 意思 → 設定 → 確定 → 判断 → 合意

という複数の方向へ概念が広がっているのである。

英語では「決める」をどう表すのか?

では、英語では「決める」をどう表すのだろうか。

中心となるのはdecideだが、何をどのように決めるかによってchoose、determine、settleなども使われる。

日本語のイメージ英語コアイメージ
考えた末に決めるdecide迷いや検討に結論を出す
候補から選ぶchoose選択肢から一つを取る
決定する・確定するdetermineはっきり決める・明らかにする
話し合いなどを終わらせて決めるsettle未解決の状態を落ち着かせる
日時・価格などを設定するset特定の値・状態に置く
方針・計画を決めるdecide on候補の中から最終的に決める
心を決めるmake up one’s mind迷いを終えて意思を固める

ここでも、「決める=decide」と一対一で考えるのではない。

日本語側で「どのような決め方なのか」を整理すると、それぞれの英語が担当している概念が見えやすくなる。

decide|考えた末に結論を出す

decideは「決める」の中心となる英単語である。

コアイメージは、

迷い・検討がある状態に結論を出す

ことである。

I decided to study abroad.
私は留学することに決めた。

何らかの検討を経て、「留学する」という方向へ進むことを決めている。

We haven’t decided yet.
私たちはまだ決めていない。

まだ複数の可能性が残っている状態である。

decideは、日本語では「決める」「決断する」「決定する」などと訳され得る。

重要なのは日本語訳ではなく、未決定の状態を終わらせるという感覚である。

choose|選択肢から一つを取る

chooseのコアイメージは、

複数の可能性の中から一つを選び取る

ことである。

Choose one of these colors.
この中から色を一つ選んで。

ここでは「決断する」というより、選択肢から選ぶことが中心である。

She chose the blue dress.
彼女は青いドレスを選んだ。

decideとの違いを簡単に整理すると、

choose → どれを取るか
decide → どうするかを決める

という違いが見えてくる。

ただし実際には両方が使える場面も多い。

I decided to buy the blue one.
青いほうを買うことに決めた。

I chose the blue one.
青いほうを選んだ。

前者は「買うという決定」、後者は「青を選択したこと」に焦点がある。

determine|はっきり決める・明らかにする

determineは「決定する」「定める」「判断する」などと訳される。

コアイメージは、

何かをはっきりした状態にする

と捉えると分かりやすい。

The date will be determined later.
日程は後で決定される。

この場合は、未確定の日程を正式に決める意味である。

一方、

The test will determine the cause.
その検査によって原因が明らかになる。

のようにも使える。

つまりdetermineは、人が意思決定するだけでなく、調査・条件・要因などによって結果が「定まる」「明らかになる」場合にも使われる。

この点がdecideとの大きな違いである。

settle|未解決の状態を終わらせる

settleには、「落ち着く」「落ち着かせる」という基本的なイメージがある。

そこから、

まだ決まっていない問題を落ち着かせ、決着させる

という意味へ広がる。

We need to settle the date.
日程を決める必要がある。

Let’s settle this today.
今日これに決着をつけよう。

decideが「結論を出す」ことを見るのに対し、settleは「未解決だったものを片づける」という感覚が強い。

話し合い、問題、争いなどを終わらせる場面にもつながる表現である。

set|日時・価格・基準などを設定する

日本語では「決める」と言える場面でも、英語ではsetが自然なことがある。

setのコアイメージは、

ある位置・値・状態に置く

ことである。

We set the date for May 10.
日程を5月10日に決めた。

They set the price at $20.
彼らは価格を20ドルに設定した。

Set a time limit.
制限時間を決めなさい。

「いつにするか」「いくらにするか」「どの基準にするか」のように、具体的な値や条件を設定するときに使いやすい。

日本語の「定める」「設定する」の領域にも近い。

decideとchoose|「決める」と「選ぶ」の違いを見る

decideとchooseは、日本語の「決める」と「選ぶ」の違いと重なる部分が多い。

たとえばレストランでメニューを見ているとする。

I chose the pasta.
パスタを選んだ。

これは、複数の料理からパスタを選択したことに焦点がある。

一方、

I decided to have the pasta.
パスタを食べることに決めた。

では、何を食べるか迷っていた状態に結論を出したことに焦点がある。

つまり、

choose → 選択肢の中の「どれ?」
decide → 未決定の状態から「どうする?」

という違いである。

decideとdetermine|意思決定か、物事を確定させるか

decideとdetermineはどちらも「決める」「決定する」と訳される。

しかし、decideは人の意思決定に使われやすい。

I decided to stay home.
家にいることに決めた。

determineは、何かを確定したり、調べて明らかにしたりする方向へ広がる。

We need to determine the cause.
原因を突き止める必要がある。

この文を、

「原因を決める」

と訳すと不自然である。

ここでは「何が原因なのかを明らかにする」という意味だからである。

この例からも、英単語は日本語訳ではなく概念で理解する必要があることが分かる。

「心を決める」は英語でどう表す?

日本語の「決心する」「心を決める」に近い代表的な表現がmake up one’s mindである。

I’ve made up my mind.
もう心を決めた。

これは、迷っていた状態から自分の意思が固まったことを表す。

She made up her mind to leave the company.
彼女は会社を辞める決心をした。

decideでも表現できる。

She decided to leave the company.
彼女は会社を辞めることに決めた。

違いは焦点である。

decide → 結論を出す
make up one’s mind → 迷っていた心を固める

と考えると分かりやすい。

「決める」の周辺英語表現

日本語側で整理した概念を英語まで広げると、次のような関係が見えてくる。

概念英語表現中心となるイメージ
結論を出すdecide未決定の状態を終わらせる
候補から選ぶchoose選択肢から取る
何かを確定・特定するdetermineはっきりした状態にする
問題に決着をつけるsettle未解決状態を落ち着かせる
日時・値などを決めるset特定の状態・値に置く
一つに決めるdecide on候補から最終決定する
心を決めるmake up one’s mind迷いを終えて意思を固める
合意するagree on話し合って同じ結論に達する

たとえば「日程を決める」一つを取っても、状況によって表現が変わる。

We need to decide on a date.
日程を決める必要がある。

We set the date for Friday.
日程を金曜日に設定した。

We finally agreed on a date.
ようやく日程について合意した。

日本語ではすべて「日程を決める」とまとめられるが、英語では「決定」「設定」「合意」のどこを見るかによって表現が変わるのである。

「決める」の概念地図

「決める」の世界を日本語から英語へつなげると、次のようになる。

決める
├─ 未確定な状態に結論を出す
│ ├─ 決める → decide
│ └─ 一つに決める → decide on
│
├─ 候補から選ぶ
│ └─ 選ぶ・選択する → choose
│
├─ 意思を固める
│ ├─ 決心する → decide / make up one’s mind
│ └─ 心を決める → make up one’s mind
│
├─ 内容をはっきりさせる
│ ├─ 決定する → determine / decide
│ └─ 確定する → determine / finalize
│
├─ 基準・日時・値を設定する
│ ├─ 定める → set / establish
│ └─ 日時を決める → set / decide on
│
├─ 未解決の問題を終わらせる
│ └─ 決着をつける → settle
│
└─ 複数の人で決める
  ├─ 取り決める → agree on / arrange
  └─ 合意して決める → agree on

こうして見ると、decide、choose、determine、settle、setは、単なる「決める」の類義語ではない。

日本語の「決める」という大きな世界の中にある、

結論を出す
候補から選ぶ
意思を固める
内容を確定する
基準を設定する
問題を終わらせる
他人と合意する

という異なる方向を、それぞれの英語が表しているのである。

まとめ|「どのように決めるのか」を考える

「決める」は、非常に広い日本語である。

どのような「決める」か日本語主な英語表現
未確定な状態に結論を出す決めるdecide
候補から一つを取る選ぶchoose
迷いを断ち切る決断するdecide
自分の意思を固める決心するdecide / make up one’s mind
内容を正式に決める決定するdecide / determine
日時・基準などを定める定める・設定するset / establish
最終的な状態にする確定するfinalize / determine
問題を終わらせる決着をつけるsettle
当事者間で決める取り決めるagree on / arrange

「決める=decide」と一対一で覚えるだけでは、chooseやdetermine、set、settleとの関係が分かりにくい。

まず日本語の「決める」を、

選ぶ
→ 結論を出す
→ 意思を固める
→ 定める
→ 確定する
→ 合意する

という概念の広がりとして見る。

そのうえで、

「何を、どのように決めているのか?」

を考える。

選択肢から一つを取るならchoose、迷いや検討に結論を出すならdecide、日時や値を設定するならset、未解決の問題に決着をつけるならsettleというように、使う英語が見えてくる。

「決める」という日本語を一つの英単語へ置き換えるのではなく、その内側にある概念を分けて考えることが、自然な英語の使い分けにつながる。

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