quietとsilentの違い

英語の quiet と silent は、どちらも日本語では「静かな」と訳されます。
a quiet room
静かな部屋
a silent room
静かな部屋
日本語にするとほとんど同じです。
しかし、英語では両者の「静かさ」に少し違いがあります。
大まかにいえば、
quiet=音が少ない・小さい
silent=音がない・声を出していない
という違いです。
つまり、quietは音量の小ささ、silentは音の有無に注目していると考えるとわかりやすいでしょう。
quietは「音が小さい・少ない」
quietは、音がまったくない必要はありません。
It’s quiet here.
ここは静かですね。
と言っても、鳥の声が聞こえたり、エアコンの音がしたり、遠くを車が走っていたりするかもしれません。
それでも、騒がしくなければquietと言えます。
つまりquietは、
noisy(騒がしい)の反対
として考えるとわかりやすい単語です。
This neighborhood is very quiet at night.
この辺りは夜になるととても静かです。
完全な無音という意味ではありません。
周囲の音が少なく、落ち着いている状態を表しています。
silentは「音がない」
silentはquietよりも強い「静かさ」を表します。
The room was completely silent.
部屋は完全に静まり返っていた。
誰も話しておらず、ほとんど音が聞こえないような状態です。
silentの中心には、
「音を発していない」
というイメージがあります。
そのため、
The audience fell silent.
観客は静まり返った。
という表現もできます。
それまで話したり音を立てたりしていた人たちが、声を出さなくなった状態です。
quietは「小さい」、silentは「ゼロ」に近い
両者を音量でイメージするとわかりやすいでしょう。
noisy → quiet → silent
と並べることができます。
たとえば音量を数字でイメージするなら、
noisy=音が大きい
quiet=音が小さい
silent=音がない
という関係です。
もちろん実際の英語が厳密な音量で区別されているわけではありません。
しかし、基本的なイメージとしては、
quiet=音量を下げる
silent=音をなくす
と考えると理解しやすくなります。
Be quiet!とBe silent!の違い
この違いがよくわかるのが命令文です。
Be quiet!
学校などでもよく聞く表現です。
日本語では、
「静かにして!」
となります。
これは必ずしも、
「一切しゃべるな」
という意味ではありません。
騒いでいる人に対して、
「もっと静かにしなさい」
という意味で使えます。
一方、
Be silent!
なら、
「黙っていなさい」「声を出さないで」
という意味がかなり強くなります。
つまり、
Be quiet.
音を小さくして。静かにして。
Be silent.
音を出さないで。黙っていて。
という違いがあります。
日常的に「静かにして」と注意するなら、Be quiet. のほうが一般的です。
quietな部屋には音があってもいい
たとえば図書館を考えてみましょう。
図書館は、
a quiet place
です。
人がページをめくる音、足音、小さな会話、エアコンの音などは聞こえるでしょう。
それでも図書館はquietです。
一方、
The library was silent.
と言えば、
図書館が静まり返っていた
という、より強い描写になります。
同じ場所でも、
The library was quiet.
なら「静かだった」。
The library was silent.
なら「しんと静まり返っていた」。
という違いが生まれます。
quiet personとsilent personの違い
人についてもquietとsilentを使えます。
He is a quiet person.
彼は物静かな人です。
これは性格についての表現です。
あまり大声で話さない、おしゃべりではない、落ち着いている、といった意味になります。
しかし、
He was silent.
なら、
「彼は黙っていた」
です。
性格ではなく、その場で話していなかった状態を表しています。
この違いは重要です。
quiet person=物静かな人
silent person=口をきかない人・黙っている人
という違いがあります。
Keep quietとremain silent
似た表現として、
keep quiet
と、
remain silent
があります。
どちらも「黙っている」と訳せる場合がありますが、ニュアンスが違います。
He kept quiet about the problem.
彼はその問題について黙っていた。
ここでのquietは、単なる音量ではなく、
そのことを話さない
という意味に広がっています。
一方、
He remained silent during the meeting.
彼は会議中ずっと黙っていた。
なら、実際に発言しなかったことに焦点があります。
silentには、
「発言しない」「口を閉ざす」
という意味が強くあります。
silentは「返事をしない」にも使える
silentは、単なる物理的な無音だけではありません。
The government remained silent on the issue.
政府はその問題について沈黙を続けた。
政府という組織が音を出さなかった、という意味ではありません。
意見や回答を示さなかった
という意味です。
日本語でも「政府は沈黙している」と言うので、この感覚は比較的わかりやすいでしょう。
silentには、
本来何かを言うことができるのに、何も言わない
という意味にも広がるわけです。
silent modeはなぜquiet modeではない?
スマートフォンには、
silent mode
という表現があります。
日本語では「サイレントモード」「マナーモード」などと呼ばれます。
なぜquiet modeではないのでしょうか。
これは、
音を小さくするのではなく、着信音などを鳴らさない
からです。
つまり、
quiet=音量を下げる
silent=音を出さない
という基本イメージがここでも生きています。
もしスマートフォンの音量を10から2に下げただけならquietに近いですが、音そのものをオフにするならsilentというわけです。
silent lettersのsilentも「音がない」
英語学習でよく出てくる表現に、
silent letter
があります。
これは「黙字」、つまり綴りには存在するけれど発音しない文字です。
たとえば、
know
の k は発音しません。
そのためsilent kと呼ばれます。
knife
knee
knock
などのkも同様です。
ここでもsilentの意味は非常に一貫しています。
文字は存在する。しかし音を出さない。
だからsilent letterなのです。
quiet letterとは言いません。
「小さな音で発音する文字」ではなく、発音そのものがない文字だからです。
silent movieも同じ考え方
silent movie
は「無声映画」です。
これも、
「音が小さい映画」
ではありません。
セリフなどの同期した音声を持たない映画を指します。
そのため、
quiet movie
とは意味が違います。
quiet movieと言えば、文脈によっては「静かで落ち着いた映画」のような意味に解釈される可能性があります。
silent movieは特定の種類の映画を表します。
quietには「落ち着いた」という意味もある
quietは音だけでなく、そこからさらに意味が広がります。
a quiet town
静かな町
と言えば、単に騒音が少ないだけでなく、
人通りが少ない、落ち着いている、活動が活発ではない
といった意味も含められます。
a quiet evening at home
家で過ごす静かな夜
なら、騒がしいイベントなどがなく、ゆっくり過ごしているイメージです。
quietには、
騒がしくない → 穏やか → 落ち着いている
という意味の広がりがあります。
この点でも、単純に「無音」を表すsilentとは違います。
silenceとquietの違い
silentの名詞形は、
silence
静寂、沈黙
です。
There was complete silence.
完全な静寂だった。
一方、quiet自体も名詞として使えます。
I need some peace and quiet.
少し静かに落ち着いて過ごしたい。
ここでも、
silence=音・発言がない状態
quiet=騒がしくなく穏やかな状態
という違いが見えます。
「静かなところでゆっくりしたい」というときには、完全な無音を求めているわけではないのでquietがよく合います。
quietとsilentの違いを整理
最後にまとめてみましょう。
| quiet | silent | |
|---|---|---|
| 基本イメージ | 音が小さい・少ない | 音がない |
| 反対のイメージ | noisy | 音を出している状態 |
| 部屋 | 静かな部屋 | 静まり返った部屋 |
| 人 | 物静かな人 | 黙っている人 |
| Be ~! | 静かにして! | 黙って! |
| スマホ | ― | silent mode |
| 発音しない文字 | ― | silent letter |
| 無声映画 | ― | silent movie |
| 落ち着いた町・生活 | ○ | 通常使わない |
| 沈黙・発言しない | 場合によって使う | ○ |
最も簡単に覚えるなら、
quiet=「音量を下げる」イメージ
silent=「音量を0にする」イメージ
です。
たとえば先生が、
Be quiet!
と言ったなら、「もう少し静かにしなさい」。
Be silent!
と言ったなら、「声を出さず黙っていなさい」。
日本語ではどちらも「静かに」と訳せてしまいますが、英語ではどの程度の「静かさ」を求めているのかに違いがあります。
そしてこの違いがわかれば、
silent mode
silent letter
silent movie
がなぜすべてsilentなのかも理解できます。
どれも「静か」というより、
「本来あり得る音が、出ていない」
という共通したイメージを持っているのです。