wishとhopeの違い

英語の wish と hope は、どちらも日本語では「願う」「望む」と訳されます。
しかし、英語では両者の感覚にはかなり大きな違いがあります。
簡単にいえば、
hope=実現する可能性があることを望む
wish=現実とは違うこと・実現が難しいことを願う
という違いです。
この違いがわかると、
I hope I can go.
I wish I could go.
のニュアンスの違いも見えてきます。
hopeは「まだ可能性がある」
hopeの中心にあるのは、
「そうなったらいいな。実際にそうなる可能性もある」
という感覚です。
たとえば、
I hope it will be sunny tomorrow.
明日晴れるといいな。
明日の天気はまだ決まっていません。
晴れる可能性も雨になる可能性もあります。
そのような未来に対する期待にはhopeがよく使われます。
I hope you pass the exam.
試験に受かるといいね。
これも、合格する可能性が十分に残っています。
hopeは単なる夢というより、
「現実に起こり得る未来を期待する」
という動詞だと考えるとわかりやすいでしょう。
wishは「現実とのズレ」がある
一方、wishでは、
「そうだったらいいのに、現実はそうではない」
という感覚が重要になります。
I wish I were rich.
お金持ちだったらいいのにな。
この人は現在、お金持ちではありません。
つまり、
現実:お金持ちではない
願望:お金持ちでありたい
というズレがあります。
この「現実と願望のズレ」がwishの重要な特徴です。
I wish I could fly.
空を飛べたらいいのにな。
人間は普通、空を飛べません。
そのためhopeよりwishが自然です。
hopeとwishを並べると違いがわかる
次の2文を比べてみましょう。
I hope I can go to the party.
パーティーに行けるといいな。
I wish I could go to the party.
パーティーに行けたらいいのにな。
日本語にするとかなり似ています。
しかし英語では状況が違います。
I hope I can go.
まだ行ける可能性があります。
仕事の予定がわからない、家族に確認する必要がある、といった状況です。
「行けるかもしれない」
という期待があります。
I wish I could go.
こちらは、
「行きたいけれど、たぶん行けない」
というニュアンスになります。
たとえば、その日は仕事があることがすでに決まっている場合です。
つまり、
hope → 未来に可能性が開いている
wish → 現実に壁がある
と考えることもできます。
hopeの後ろには普通の文が続く
hopeは、実現可能性のあることを期待するので、後ろには通常の時制の文を置けます。
I hope she comes.
彼女が来るといいな。
I hope she will come.
彼女が来てくれるといいな。
I hope you enjoy your trip.
旅行を楽しんでね。
文法的にも、hopeの世界は基本的に「現実世界の延長線上」にあります。
wishでは仮定法が重要になる
wishでは現実とのズレを表すため、仮定法がよく使われます。
wish+過去形
現在の現実と違うことを願います。
I wish I had more time.
もっと時間があればいいのに。
実際には時間がありません。
I wish I knew the answer.
答えを知っていればなあ。
実際には知りません。
形は過去形ですが、過去の話とは限りません。
ここで過去形を使うのは、
現実から距離を置くため
と考えると理解しやすくなります。
wish+過去完了なら「過去への後悔」
すでに終わってしまったことについて、
「こうだったらよかったのに」
と思う場合にもwishを使います。
I wish I had studied harder.
もっと勉強しておけばよかった。
実際には十分勉強しませんでした。
I wish I had gone with you.
あなたと一緒に行けばよかった。
実際には行きませんでした。
これは、
過去の事実を今から変えることはできない
という意味で、wishとの相性が非常によい表現です。
wish+wouldは「変わってほしい」
wishの後ろにwouldを置くこともあります。
I wish he would stop talking.
彼がおしゃべりをやめてくれたらいいのに。
I wish it would stop raining.
雨がやんでくれたらいいのに。
この場合は、
「今の状況が自分の望む方向へ変化してほしい」
という気持ちが表れます。
場合によっては、不満やいら立ちも含まれます。
hopeでは「人+to不定詞」にできない
hopeを学ぶときに注意したいのが、
I hope you to come.
とは普通言わないことです。
「あなたに来てほしい」と日本語から考えると作りたくなる文ですが、不自然です。
hopeでは、
I hope you will come.
のように節を続けます。
一方、
I want you to come.
なら自然です。
wantは「人に~してほしい」という形を作れますが、hopeは基本的にその構造を取りません。
この違いは、hopeが誰かに働きかけて何かをさせるというより、
「そういう未来になることを期待する」
という性格を持つ動詞だから、とイメージすると理解しやすいでしょう。
では「I wish you a Merry Christmas」はなぜwish?
ここまで読むと、
「wishは実現しそうにないことに使うなら、なぜ I wish you a Merry Christmas. と言うの?」
という疑問が出てきます。
実はwishには、もう一つ重要な使い方があります。
I wish you happiness.
あなたの幸せを願います。
I wish you good luck.
幸運を祈ります。
I wish you a Merry Christmas.
よいクリスマスを。
このwishは「非現実」を表すwishとは別に、
人に幸福・成功・幸運などを願う
という用法です。
この場合、
wish+人+物
という形を取れます。
I wish you good luck.
SVOO、つまり第4文型として考えることができます。
「あなたに幸運を願う」という構造です。
hopeとwishは日本語の「願う」だけでは区別できない
日本語では、
「明日晴れるといいな」
「もっと背が高ければいいのに」
「試験に合格するといいね」
「もっと勉強しておけばよかった」
などを、すべて広い意味で「願い」として捉えることができます。
しかし英語では、その願いと現実との関係によってhopeとwishを使い分けます。
重要なのは、日本語訳そのものではなく、
「その願いはまだ実現可能なのか?」
と考えることです。
まだ未来が開かれているならhope。
現実とは違うことを思い描いているならwish。
この感覚を持っておくと使い分けやすくなります。
hopeは未来を見る、wishは現実との距離を見る
hopeとwishの違いを一言で覚えるなら、
hopeは「可能性」
wishは「現実との距離」
と考えるとよいでしょう。
| 表現 | イメージ | 例 |
|---|---|---|
| hope | 実現する可能性がある | I hope I pass. |
| wish+過去形 | 今の現実と違う | I wish I were rich. |
| wish+過去完了 | 過去の事実と違う | I wish I had studied. |
| wish+would | 状況が変わってほしい | I wish it would stop raining. |
| wish+人+物 | 人の幸福などを願う | I wish you good luck. |
日本語ではどちらも「~だといいな」と訳せてしまうため、hopeとwishの違いは日本語訳だけを覚えているとなかなか見えてきません。
英語では、
hope:まだそうなる世界があり得る
wish:現実はそうではないが、そうだったらいいのに
という違いがあります。
この「現実との距離」を意識すると、hopeとwishだけでなく、英語の仮定法そのものも理解しやすくなります。