watchとseeの違い

英語で「見る」といえば、まず思い浮かぶのが see と watch です。
たとえば、
I watched TV.
「テレビを見た」
と言います。
一方、
I saw a bird.
なら、
「鳥を見た」
です。
日本語ではどちらも「見る」ですが、
I saw TV.
I watched a bird.
とすると、意味やニュアンスが変わったり、不自然になったりします。
では、seeとwatchは何が違うのでしょうか。
大まかにいうと、
see=視界に入って認識する
watch=動いているもの・変化するものに意識を向けて見続ける
という違いがあります。
seeは「視界に入る」
seeの基本的なイメージは、
「目に入って、それを認識する」
です。
たとえば、
I saw a cat in the garden.
庭で猫を見た。
これは、猫をじっと観察していたという意味ではありません。
庭を見たら猫がいた、歩いていたら猫が目に入った、といった状況でも使えます。
つまりseeでは、
対象を見るために積極的に視線を向け続ける必要はありません。
I can see the mountains from my window.
窓から山が見える。
この場合もわかりやすいでしょう。
山を「観察している」のではなく、
視界に山が入っている
ということです。
watchは「意識を向けて見続ける」
watchは、seeよりも積極的な「見る」です。
I watched the game.
試合を見た。
試合は時間とともに展開していきます。
その変化を追いながら、意識を向けて見るのがwatchです。
そのためwatchには、
「ある程度の時間、対象に注意を向ける」
というニュアンスがあります。
テレビを見るときに、
I watch TV.
となるのもそのためです。
テレビ画面には映像が流れ、内容が次々と変化します。
それを継続的に見ているのでwatchがよく使われます。
「一瞬」と「継続」で考えるとわかりやすい
seeとwatchの違いは、
一瞬の認識か、継続的な観察か
と考えると理解しやすくなります。
たとえば、空に鳥が飛んでいるとします。
I saw a bird.
なら、
「鳥を見た」「鳥が目に入った」
という感じです。
一方、
I watched the bird.
なら、
「その鳥を見ていた」
です。
鳥が飛んでいく様子などを、ある程度継続して目で追っているイメージになります。
同じbirdでも、
see a bird=鳥の存在を視覚的に認識する
watch a bird=鳥の動き・様子を観察する
という違いが生まれます。
watchは「動き・変化」と相性がいい
watchがよく使われる対象には共通点があります。
たとえば、
watch TV
テレビを見る
watch a movie
映画を見る
watch a game
試合を見る
watch a child
子どもを見ている
watch the birds
鳥たちを観察する
などです。
いずれも、時間とともに何かが変化します。
そのためwatchは、
「動いているものを見る動詞」
と説明されることもあります。
ただし、「動いているかどうか」だけで完全に決まるわけではありません。
より本質的には、
対象の動きや変化に注意を向け続ける
という感覚です。
watchには「見張る」という意味もある
watchの「注意を向け続ける」というイメージを理解すると、「見る」以外の意味もわかりやすくなります。
Watch the baby.
なら、
単に「赤ちゃんを見て」というより、
「赤ちゃんを見ていて」「赤ちゃんから目を離さないで」
という意味になり得ます。
Watch my bag.
なら、
「私のバッグを見ていて」
つまり、
「バッグを見張っていて」
という意味です。
さらに、
Watch out!
という有名な表現もあります。
「気をつけて!」
です。
これもwatchの、
注意を向ける
というイメージから考えると理解しやすいでしょう。
watchは単なる「視覚」の動詞ではなく、注意・監視という感覚も持っているのです。
seeは「見る」より「見える」に近いことがある
日本語ではseeを「見る」と覚えることが多いですが、実際には、
「見える」
と考えたほうがわかりやすい場面も多くあります。
I can see Mt. Fuji.
「富士山を見ることができる」
より、
「富士山が見える」
と訳したほうが自然です。
Can you see that building?
「あの建物が見えますか?」
これも、相手に「建物を観察してください」と言っているわけではありません。
視覚として認識できているか
を尋ねています。
このため、
see=見る
と一対一で覚えるより、
see=視覚で認識する
くらいのイメージを持っておくと、応用が利きます。
seeには「会う」という意味もある
seeの「認識する」という感覚は、さらに意味を広げます。
I saw Tom yesterday.
は、
「昨日トムを見た」
だけでなく、
「昨日トムに会った」
という意味にもなります。
I’m seeing my doctor tomorrow.
なら、
「明日、医師に診てもらう予定です」
といった意味になります。
seeは単に眼球で何かを見ることだけを表すのではなく、人と会う・面会するという意味にも広がっています。
seeには「わかる」という意味もある
さらに面白いのが、
I see.
です。
直訳すれば「私は見る」ですが、実際には、
「なるほど」「わかりました」
という意味でよく使われます。
日本語でも、
「なるほど、見えてきた」
「話が見えない」
「先が見えた」
など、「見る」と「理解する」は結びついています。
英語のseeにも、
目で認識する → 頭で認識する → 理解する
という意味の広がりがあります。
そのため、
I see what you mean.
は、
「あなたの言いたいことがわかります」
となります。
seeを単なる「見る」と覚えていると、この意味が突然出てきたように感じます。
しかし、
see=認識する
という中心イメージを持っていれば、「理解する」という意味にもつながりやすくなります。
watchとseeを同じ対象で比べる
同じ対象を使うと違いがよくわかります。
鳥の場合
I saw a bird.
鳥を見た。
→ 鳥の存在を認識した。
I watched a bird.
鳥を見ていた。
→ 鳥の様子をしばらく観察した。
子どもの場合
I saw the children.
子どもたちを見かけた。
I watched the children.
子どもたちを見ていた。
後者には、遊んでいる様子を眺めたり、安全のために見守ったりするニュアンスが出ます。
つまり、対象そのものによってsee/watchが決まるのではありません。
話し手がその対象を、
「認識した」のか
「注意を向けて見続けた」のか
によって動詞が変わります。
映画はwatch?see?
少しややこしいのがmovieです。
I watched a movie last night.
も、
I saw a movie last night.
も使えます。
ただし、注目しているところが少し違います。
I watched a movie last night.
では、
「映画を観て過ごした」という行為
に焦点があります。
一方、
I saw a movie last night.
では、
「その映画を観た」という経験
に焦点を置くことができます。
特に、
Have you seen this movie?
「この映画、観たことある?」
は非常に自然です。
ここでは「映画をじっと見続けた経験があるか」ではなく、
その映画を観た経験があるか
を聞いているからです。
したがって、
watch=鑑賞という行為
see=鑑賞したという経験・事実
という違いが現れることがあります。
lookとの違いは?
「見る」を表す基本動詞には、もう一つlookがあります。
see・look・watchを並べると、それぞれの違いがよりはっきりします。
see
視界に入って認識する
I saw a dog.
犬を見た。
look
視線を向ける
Look at the dog.
その犬を見て。
watch
注意を向けて見続ける
Watch the dog.
その犬を見ていて。
この3つを、一連の動作として考えることもできます。
何かに気づいて、
I see something.
何かが見える。
そこで、
I look at it.
それに視線を向ける。
そして気になったので、
I watch it.
しばらく観察する。
という流れです。
単純化すれば、
see=目に入る
look=目を向ける
watch=目で追う
とすると、違いをイメージしやすいでしょう。
seeとwatchは「意識の強さ」が違う
seeとwatchの違いを、「一瞬か長時間か」だけで覚えると例外に困ることがあります。
そこで、もう少し抽象化して、
見ることに対して、どのくらい意識を向けているか
と考えてみます。
大まかには、
see → look → watch
の順に、対象に対する意識が強くなるイメージを持つことができます。
seeは「視覚的に認識する」。
lookは「意識的に視線を向ける」。
watchは「注意を向けて、その様子を追う」。
この違いがわかれば、日本語の「見る」を見た瞬間に英単語へ置き換えるのではなく、
「どんな見方をしているのか?」
を考えて英単語を選べるようになります。
まとめ
watchとseeは、どちらも日本語では「見る」と訳されますが、見方が違います。
see=視界に入って認識する
watch=対象に注意を向けて、その動きや変化を見る
と考えるとわかりやすいでしょう。
I saw a bird.
なら、
「鳥が目に入った・鳥を見た」。
I watched the bird.
なら、
「その鳥の様子を見ていた」。
です。
さらにlookを加えると、
see=目に入る
look=目を向ける
watch=目で追う
という違いが見えてきます。
日本語では、これらをすべて「見る」という一つの動詞で表現できます。
しかし英語では、「見る」という行為を、視覚的に認識したのか、意識的に視線を向けたのか、注意して見続けたのかまで区別して動詞を選んでいるわけです。
英単語を日本語訳だけで覚えると、
see=見る
look=見る
watch=見る
となってしまい、3つとも同じ単語に見えてしまいます。
しかし、
「見る」という日本語の中に、英語では複数の異なる概念が隠れている
と考えてみると、英単語それぞれのニュアンスが見えやすくなります。