完全他動詞と不完全他動詞の違い

英語の動詞は、大きく「自動詞」と「他動詞」に分けられます。
自動詞は目的語を必要としない動詞、他動詞は目的語をとる動詞です。
たとえば、
I like apples.
では、like の後ろに「何を好きなのか」を表す apples が必要です。
この apples が**目的語(O:Object)**です。
しかし、同じ他動詞でも、
I like apples.
と
I made him happy.
では少し構造が違います。
like は、
I like apples.
だけで意味が完成します。
一方、make を、
I made him …
「私は彼を……」
で止めると、この意味で使う場合には「彼をどうしたの?」と続きを待ちたくなります。
I made him happy.
「私は彼を幸せにした」
まで聞くと意味がはっきりします。
この違いが、完全他動詞と不完全他動詞の違いです。
完全他動詞とは?
完全他動詞とは、簡単にいえば、
「目的語があれば意味が完成する他動詞」
です。
たとえば、
I like apples.
I=主語(S)
like=動詞(V)
apples=目的語(O)
なので、
S+V+O(第3文型)
です。
She opened the door.
も同じです。
「彼女はドアを開けた」
で意味は完成しています。
| S | V | O |
|---|---|---|
| I | like | apples. |
| She | opened | the door. |
| He | knows | me. |
| We | watched | the movie. |
このように、
「SがOをVする」だけで意味が完成する
のが完全他動詞の基本です。
不完全他動詞とは?
不完全他動詞は、
「目的語をとるだけでは足りず、目的語を説明する補語も必要とする他動詞」
です。
たとえば、
I made him happy.
を見てみましょう。
I=S
made=V
him=O
happy=C
なので、
S+V+O+C(第5文型)
です。
ここで重要なのが、
him=happy
という関係です。
「彼が幸せな状態になるようにした」ということですね。
happy は目的語ではありません。
目的語 him が「どんな状態なのか」を説明している**補語(C:Complement)**です。
このように、OだけではなくCまで必要として意味を完成させる他動詞を、不完全他動詞と呼びます。
「不完全」とは何が足りないのか?
完全他動詞と不完全他動詞という言葉は、少し難しそうに見えます。
しかし「完全」「不完全」をそのまま考えると、意外と単純です。
I like apples.
なら、
「私はリンゴが好きだ」
と、目的語 apples までで意味が完成しています。
だから完全他動詞。
一方、
They elected him …
では、
「彼らは彼を選んだ……」
だけでは、この elect の使い方では「彼を何に選んだの?」という情報がまだ欲しくなります。
They elected him president.
「彼らは彼を大統領に選んだ」
まで聞けば意味が完成します。
つまり、
完全他動詞=Oまでで完成する
不完全他動詞=Oだけでは足りず、Cによる補完が必要
と考えるとわかりやすいでしょう。
不完全他動詞は「O=C」で考える
不完全他動詞を理解するうえで、非常に便利なのが、
O=C
という考え方です。
I made him happy.
なら、
him=happy
です。
They elected him president.
なら、
him=president
です。
We call him Tom.
なら、
him=Tom
です。
つまりSVOCでは、CがOについて説明しています。
この関係を意識すると、第5文型がかなり見えやすくなります。
完全他動詞と不完全他動詞を比べる
整理すると次のようになります。
| 完全他動詞 | 不完全他動詞 | |
|---|---|---|
| 目的語O | 必要 | 必要 |
| 補語C | 不要 | 必要 |
| 基本文型 | SVO | SVOC |
| Oまでで意味 | 完成する | 完成しない |
| 例 | like, know, use, open | make, keep, call, elect |
完全他動詞は、
I opened the door.
で終われます。
不完全他動詞は、
They made the room …
だけでは、「部屋をどうしたの?」となります。
They made the room clean.
「彼らは部屋をきれいにした」
なら、
the room=clean
となって意味が完成します。
SVCとSVOCはよく似ている
前回の「完全自動詞と不完全自動詞」と組み合わせると、面白い関係が見えてきます。
不完全自動詞は、
S+V+C
を作ります。
He became happy.
ここでは、
He=happy
です。
一方、不完全他動詞は、
S+V+O+C
を作ります。
I made him happy.
ここでは、
him=happy
です。
つまり、
He became happy.
S=C
I made him happy.
O=C
という違いです。
どちらも「補語Cが誰か・何かの状態を説明している」という点では共通しています。
違うのは、
Sを説明しているのか、Oを説明しているのか
です。
この視点で見ると、SVCとSVOCの関係がかなりわかりやすくなります。
完全他動詞と不完全他動詞の両方になる動詞もある
注意したいのは、
「この単語は完全他動詞」「この単語は不完全他動詞」と完全に固定されているわけではない
ということです。
同じ動詞でも、使い方によって文型が変わります。
たとえば make です。
She made a cake.
「彼女はケーキを作った」
これは、
S+V+O
です。
a cake までで意味が完成しています。
この使い方では、make は完全他動詞として働いています。
一方、
She made me happy.
「彼女は私を幸せにした」
なら、
S+V+O+C
です。
me=happy
なので、この使い方では不完全他動詞です。
つまり、
She made a cake.
SVO
と
She made me happy.
SVOC
では、同じ make でも働きが違います。
「意味」だけで文型を決めるのは難しい
ここが英語の面白いところでもあります。
日本語では make を、
「作る」「~にする」
などと訳し分けます。
しかし、英語を読むときに毎回日本語訳だけから文型を判断しようとすると、難しくなることがあります。
むしろ、
make+O
なのか、
make+O+C
なのかを見て、
「Oに何かをする」のか、「Oをある状態にする」のか
と考えたほうが、英語の構造を直接つかみやすくなります。
SVOOとの違いは「O=C」で見分ける
SVOCを勉強すると、混乱しやすいのがSVOOです。
たとえば、
I gave him a book.
これは、
S+V+O+O
です。
him と a book が並んでいますが、
him ≠ a book
です。
彼は本ではありません。
一方、
I called him Tom.
では、
him=Tom
です。
そのため、
I / called / him / Tom
S / V / O / C
となります。
つまり、
SVOO:O ≠ O
SVOC:O = C
と考えると、両者を区別しやすくなります。
I gave him a book.
him ≠ a book → SVOO
I called him Tom.
him = Tom → SVOC
というわけです。
不完全他動詞にはどんな動詞がある?
SVOCを作る代表的な動詞には、次のようなものがあります。
make ― OをCにする
The news made me sad.
その知らせは私を悲しくさせた。
me=sad
keep ― OをCの状態に保つ
Keep the door open.
ドアを開けたままにしてください。
the door=open
call ― OをCと呼ぶ
We call him Ken.
私たちは彼をケンと呼ぶ。
him=Ken
name ― OをCと名付ける
They named the baby Emma.
彼らは赤ちゃんをエマと名付けた。
the baby=Emma
elect ― OをCに選ぶ
They elected him president.
彼らは彼を大統領に選んだ。
him=president
find ― OがCだとわかる
I found the book interesting.
私はその本を面白いと思った。
the book=interesting
このように不完全他動詞には、
「OをCにする」「OをCの状態に保つ」「OがCだと判断する」
といった意味を持つものが多くあります。
「後ろに単語が2つある」だけではSVOCとは限らない
SVOCを見分けるときに、
「動詞の後ろに名詞と形容詞がある」
「動詞の後ろに2つ何かがある」
という表面的な形だけで判断するのは危険です。
大切なのは、
OとCの間に説明関係があるか
です。
I found the box empty.
なら、
the box=empty
なのでSVOCです。
しかし、
I put the box on the table.
では、
the box と on the table は「=」ではありません。
単純に「動詞の後ろにいくつ言葉があるか」を数えるのではなく、
それぞれの語がどんな関係にあるのか
を見ることが、英語の文型を理解するポイントです。
リスニングでは「Oの後ろ」を予測できる
完全他動詞と不完全他動詞の違いは、リスニングにも役立ちます。
たとえば、
They elected him …
と聞こえたとします。
elect が「OをCに選出する」という形で使われているとわかれば、
「him が何に選ばれたのか、まだ続きそうだ」
と予測できます。
They elected him president.
とCが来て完成します。
同じように、
Keep the door …
と聞けば、
「ドアをどういう状態にしておくのか?」
と予測できます。
Keep the door open.
という続きが自然に待てるわけです。
これは、英文を一語ずつ日本語に訳して聞くのとは少し違います。
動詞を聞いた時点で、その動詞がどんな「箱」を後ろに作るのかを予測する
という聞き方です。
4種類の動詞を「完全・不完全」で整理する
ここまで理解すると、自動詞と他動詞を4種類に整理できます。
| 種類 | 基本文型 | 必要なもの | 例 |
|---|---|---|---|
| 完全自動詞 | SV | なし | He smiled. |
| 不完全自動詞 | SVC | C | He became happy. |
| 完全他動詞 | SVO | O | I like apples. |
| 不完全他動詞 | SVOC | O+C | I made him happy. |
この分類で見ると、「完全」と「不完全」の意味がはっきりします。
完全自動詞は、
S+V
で完成。
不完全自動詞は、
S+V+C
まで必要。
完全他動詞は、
S+V+O
で完成。
不完全他動詞は、
S+V+O+C
まで必要。
つまり「不完全」とは、
補語Cによる説明がないと、述語の意味が完成しない
と考えることができます。
まとめ
完全他動詞と不完全他動詞の違いは、
「目的語Oだけで意味が完成するか?」
と考えるとわかりやすくなります。
I like apples.
は、Oの apples までで完成するので完全他動詞です。
I made him happy.
は、Oの him だけではなく、him を説明する happy まで必要なので不完全他動詞です。
そして、不完全他動詞を見抜く最大のポイントが、
O=C
です。
I made him happy.
him=happy
We call him Tom.
him=Tom
They elected him president.
him=president
この感覚がわかると、SVOCだけでなく、SVCやSVOOとの違いも見えやすくなります。
英語の5文型は、SV、SVC、SVO、SVOO、SVOCという記号だけを暗記すると複雑に感じます。
しかし、
動詞だけで完成するのか?
補語が必要なのか?
目的語が必要なのか?
目的語をさらに説明する必要があるのか?
という「動詞が後ろに何を要求しているのか」という視点から見ると、英語の文型はかなり整理して理解できるようになります。