自動詞と他動詞の違い―日本語の「を」だけではわからない英語のしくみ

自動詞と他動詞の違い

英語を勉強していると、「自動詞」と「他動詞」という言葉が出てきます。

簡単に説明すると、

  • 自動詞:目的語を必要としない動詞
  • 他動詞:目的語を必要とする動詞

です。

たとえば、

I slept.
私は寝た。

sleepは「何を?」という目的語を必要としないので、自動詞です。

一方、

I like music.
私は音楽が好きだ。

likeの後ろにはmusicという目的語があります。そのためlikeは他動詞です。

しかし、日本人にとって自動詞と他動詞が難しい理由は、単に「目的語があるかどうか」ではありません。

日本語と英語では、出来事の捉え方が違うことがあるからです。

「自動詞=自分でする動詞」ではない

「自動詞」という名前を見ると、

自分で何かをする動詞なのかな?

と思ってしまいます。

しかし、そういう意味ではありません。

たとえば、

The accident happened.
事故が起きた。

happenは自動詞です。

事故が「自分の意思で起きた」わけではありません。

自動詞の「自」は、「自分自身で行動する」という意味で理解するよりも、目的語を取らなくても動詞だけで関係が成立すると考えた方が分かりやすいでしょう。

「他動詞」は対象に働きかける

他動詞には、動作や作用が向かう「相手」があります。

I opened the door.
私はドアを開けた。

openの作用がthe doorに向かっています。

つまり、

I → open → the door

という関係です。

このthe doorが目的語(O)です。

一方、

The door opened.
ドアが開いた。

ではどうでしょう。

今度は「誰かがドアを開けた」のではなく、「ドアが開いた」という出来事を表しています。

このopenは自動詞です。

同じopenでも、

I opened the door.
ドアを開けた。→ 他動詞

The door opened.
ドアが開いた。→ 自動詞

という使い方ができます。

日本語でも「開ける」と「開く」を使い分けますが、英語では同じopenが両方を担当できるわけです。

ここに日本語と英語の面白いズレがあります。

日本語の「を」があれば他動詞とは限らない

日本人が自動詞・他動詞を考えるときに注意したいのが、「を」です。

学校では、

「~を」があったら目的語

と習った記憶があるかもしれません。

しかし、日本語の「を」と英語の目的語は完全には一致しません。

たとえば、

公園を歩く

という日本語があります。

「公園」なので、英語でもparkが目的語になりそうです。

しかし、

I walk in the park.

と表現できます。

walkはここでは自動詞で、the parkはwalkの目的語ではありません。

同じように、

学校へ行く
go to school

のgoも基本的には自動詞です。

schoolの前にtoが必要です。

つまり、

日本語で「~を」「~に」「~へ」がある

英語で目的語になる

という対応関係ではありません。

日本語の助詞から英語の文構造をそのまま推測すると、ズレることがあるのです。

「到着する」はarriveなのに、なぜ場所を直接置けない?

日本語とのズレがよく分かるのがarriveです。

日本語では、

私は駅に到着した。

と言います。

「到着する」という動作には「駅」という到着地点があるので、

I arrived the station.

と言いたくなるかもしれません。

しかし、arriveは基本的に自動詞なので、

I arrived at the station.

となります。

一方、「~に到着する」に近いreachは他動詞です。

I reached the station.

こちらにはatがありません。

日本語にすると、どちらも、

駅に着いた。

となり得ます。

しかし英語では、

arrive at the station
reach the station

と構造が違います。

日本語訳だけを覚えていると、この違いが見えません。

listenとhearにも違いがある

「聞く」も面白い例です。

listen to music
musicを意識して聴く

ではlistenの後ろにtoが必要です。

一方、

hear music
musicが聞こえる

ではhearの直後にmusicを置けます。

つまり、基本的には、

listen → 自動詞
hear → 他動詞

という違いがあります。

日本語ではどちらも「聞く・聴く」と訳せますが、英語では文の作り方そのものが違います。

単語のニュアンスと文法は、完全に別々のものではないのです。

lookとseeにも同じ違いがある

「見る」も同様です。

Look at the picture.
その絵を見て。

lookは基本的に自動詞なので、対象を示すためにatを使います。

一方、

I saw the picture.
その絵を見た。

seeは他動詞としてthe pictureを直接目的語にできます。

そのため、

look at something
see something

という違いがあります。

日本語ではどちらも「~を見る」と言えてしまいます。

日本語の「見る」という一つの箱の中に入っているものを、英語ではlookとseeという異なる性質の動詞で表現しているわけです。

自動詞には前置詞が必要?

ここまで読むと、

自動詞なら前置詞が必要で、他動詞なら前置詞がいらない

と思うかもしれません。

これは半分正解ですが、少し注意が必要です。

自動詞は目的語を直接取れないので、対象や場所などを続けたい場合には前置詞が使われることがよくあります。

listen to music
look at him
arrive at the station
go to school

一方、他動詞は目的語を直接取れます。

hear music
see him
reach the station
visit school

したがって、

自動詞 + 前置詞 + 名詞
他動詞 + 名詞

という対比は、自動詞と他動詞を理解するうえで非常に役立ちます。

ただし、自動詞だから必ず前置詞が必要なわけではありません。

He slept.

のように、それだけで文が成立する場合には当然前置詞はいりません。

「自動詞か他動詞か」は単語だけでは決まらないこともある

さらにややこしいのは、一つの動詞が自動詞にも他動詞にもなることです。

openがその典型です。

The door opened.
ドアが開いた。

自動詞です。

I opened the door.
私はドアを開けた。

他動詞です。

ほかにも、

The car stopped.
車が止まった。

I stopped the car.
私は車を止めた。

という使い方があります。

つまり、

open=自動詞
stop=他動詞

のように単語そのものへ固定したラベルを貼るのではなく、

「この文では、この動詞がどのように使われているのか」

を見る必要があります。

自動詞と他動詞は「意味の向き」を見ると面白い

自動詞と他動詞を単なる試験問題として考えると、

前置詞が必要か覚えよう
arriveは自動詞
reachは他動詞

という暗記になってしまいます。

しかし、少し違う見方をすると面白くなります。

The door opened.

では、doorに起きた変化を述べています。

一方、

I opened the door.

では、Iからdoorへ働きかけています。

大まかにイメージすれば、

自動詞:主語について「どうする・どうなる」を述べる

他動詞:主語から目的語へ動作・認識などの関係が伸びる

と考えることができます。

もちろん、すべての動詞を「物理的な働きかけ」だけで説明できるわけではありません。

たとえば、

I know him.

knowは他動詞ですが、himに物理的な作用を加えているわけではありません。

そのため、「働きかけ」はあくまで理解のためのイメージです。

重要なのは、

その動詞が目的語との直接的な関係を作るのか

という点です。

日本語訳だけでは自動詞・他動詞はわからない

自動詞と他動詞を学ぶときに一番重要なのは、

日本語訳だけを見ても、その英語が自動詞なのか他動詞なのかは判断できない

ということです。

「到着する」

arrive at the station
reach the station

「見る」

look at the picture
see the picture

「聞く」

listen to music
hear music

日本語にすると非常によく似ています。

しかし英語では、動詞とその後ろの名詞との関係が違います。

だから英単語を、

arrive=到着する
reach=到着する

だけで覚えてしまうと、大切な情報が抜け落ちます。

arrive at
reach

くらいまでを一つのまとまりとして見ると、その単語が持つ英語らしい性質が見えてきます。

まとめ

自動詞と他動詞の基本的な違いは、

自動詞=目的語を取らない動詞
他動詞=目的語を取る動詞

です。

しかし、本当に面白いのはその先です。

日本語では同じように、

「駅に着く」
「音楽を聞く」
「絵を見る」

と表現していても、

英語では、

arrive at / reach
listen to / hear
look at / see

のように、動詞と対象との関係が異なります。

自動詞・他動詞は単なる文法用語ではありません。

英語が「出来事」や「対象との関係」をどのように捉えているのかを見るための分類でもあります。

「この日本語は英語で何という?」だけではなく、

「英語では、その動詞の後ろに何を置けるのだろう?」

と考えてみる。

そこから、日本語訳だけでは見えなかった英単語のニュアンスが少しずつ見えてきます。

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